人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

【読者の声・源流】 ILCへ危機感識者の指摘重い

投稿者 : 
tanko 2017-11-18 11:10
 ILC誘致を巡る動きについて、ドイツ・マインツ大学の斎藤武彦教授のインタビュー記事が本紙に掲載された。「誘致活動に懸念要素」の見出しが目に留まり、読むとそこに市民への重要なメッセージが込められているように思う。
 斎藤教授は、米国の重力波観測施設「LIGO」にかかわっている3人の物理学者が、ことしのノーベル賞を受賞したことに触れ、それは日本で建設中の重力波研究施設「KAGRA」の敗北であると語った。
 なぜなら、LIGO関係者の受賞は、KAGRAが動きだす前にその目的が果たされたことを意味しているということだった。
 敗北は、ILCでも起きる可能性があるという。当初の計画を10km短縮したILCが、ヨーロッパや中国が考える超巨大加速器との研究争いに勝てる保証はなく、後れを取れば、莫大な費用やエネルギーが無駄になるというわけだ。
 斎藤教授の指摘は、地元住民への関係情報の少なさ、実現さえすればバラ色の未来が訪れるかのように喧伝する誘致関係者や自治体担当者への苦言に思える。
 記事を読み頭をよぎったのは、最終保管場所が定まらない放射性廃棄物の存在である。仮に誘致が成功し、さしたる成果もなく研究期間を終えるならば、世論次第ではその施設への転用だってあり得るのではないか。
 ここ1年が政府判断に向けた正念場と言われる中、杞憂であればいいが、あらゆる事態を想定して臨まないと、子々孫々までの責任が負えなくなる。
 KAGRA敗北の真偽はいずれにしても、「ILC実現を強く願うあまり、冷静な判断や住民目線の対応を見失っては本末転倒」との斎藤教授の言葉の意味は重いのではないか。
菊地 うん一(仮名=64歳、江刺区)
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