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ILCの段階的建設は“近道”  苦渋の判断も確実性優先

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tanko 2017-9-28 14:30
 素粒子物理学の国際研究施設、国際リニアコライダー(ILC)の誘致実現に向けた取り組みの最前線に立つ東京大学の山下了特任教授(51)は27日、盛岡市内で講演。施設を段階的に建設し初期コストを抑える「ステージング」について、11月にカナダで開かれる国際将来加速器委員会(ICFA)で正式承認を得る見込みであることを示した。当初の研究スケジュールや得られる成果に時間差が生じてしまうものの、山下教授は講演後の胆江日日新聞社の取材に対し、「研究者にとっては苦渋の判断だが、確実に狙えるところから実施したほうが結果的には最速だと思う」と述べた。


 講演会は岩手県ILC推進協議会(会長・谷村邦久岩手県商工会議所連合会長)が主催。誘致を推進している行政や経済・産業界の関係者ら約200人が出席した。
 ステージングは、昨年12月に盛岡市を主会場に開催された国際会議「リニアコライダー・ワークショップ(LCWS)2016」の会期中、国際研究者組織「リニアコライダー・コラボレーション(LCC)」によって提案された。当初計画では、直線距離30kmの加速器用トンネルを掘る予定だったが、20kmに短縮することで初期コストを抑制。実験成果や関係装置の技術進歩の状況を見ながら段階的に施設規模を拡大していく考え方だ。文部科学省のILC有識者会議や日本学術会議などの議論でたびたび指摘されていた莫大な建設・運営コストによる他研究分野予算への影響、人材確保などの問題解消を狙う。
 当初は、8月に中国の広州市で開催されたICFAとリニアコライダー国際推進委員会(LCB)との合同会議の場で承認されるとの見通しがあった。しかし、山下教授によるとLCC側の資料整理が間に合わなかった。ステージング自体は「支持」されたものの、正式決定はカナダでのICFA会合に持ち越されることになったという。
 山下教授は本紙取材に「研究者としては一度に複数の成果を得たいところ。ステージングを議論する過程でも異を唱える声はあった」と明かした。しかし、このままコストなどの諸課題が解決せず、時間だけが経過すると、来年夏以降にも予定されている欧州や米国の科学計画の策定にILCが盛り込まれない可能性が出てくる。国際協力が得らなくなることを意味し、日本やアジアにとって大きなチャンスとなるはずのプロジェクトが立ち消えになる恐れがある。さらに、中国では独自に大型の円形加速器を建設する計画が浮上している。
 山下教授は「貴重な財源を使う上からも、できる限りコストがかからず、かつ将来的な拡張性を担保した方針がステージング。研究者にとっては苦渋の選択だが、さまざまな状況を踏まえると、結果的には最速の手段だと思う」と説明。全体的なタイムラグは生じるものの、「その間に技術が向上して、拡張時にはよりレベルの高い装置を導入することも可能だ」と強調する。

写真=ILC計画を巡る現状を語る東京大学の山下了特任教授
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