人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

さらばスパコン「アテルイ」 機器更新に伴い“引退”へ (国立天文台・水沢)

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tanko 2017-8-9 10:20
 国立天文台(本部・東京都三鷹市、林正彦台長)が、水沢区星ガ丘町の同天文台水沢キャンパス敷地内に設置しているスーパーコンピューター(スパコン)「アテルイ」は、機器更新に伴い本年度で運用終了となる。19日に同キャンパスで開かれる「いわて銀河フェスタ2017」は、一般市民がアテルイの姿を見られる最後のチャンス。後継のスパコンは引き続き水沢に設置されるが、愛称は未定という。
(児玉直人)


 スパコン「アテルイ」は1秒間に約1000兆回の足し算や掛け算をするくらいの処理能力があり、天文学専用としては世界最速。これまでの観測成果や物理学の理論などを反映させながら、さまざまな天文現象の解明に貢献している。
 かつては三鷹の同天文台本部に設置されていたが、リスク分散や機器冷却コストを踏まえ、2013(平成25)年度から同天文台最北の施設である水沢キャンパスに移設。古代東北の英雄「アテルイ」にあやかった愛称も付けられた。
 数多くの成果を挙げてきた「アテルイ」だが、機械更新による“引退”の時期が迫ってきた。管理・運営を担当する同天文台シミュレーションンプロジェクトの広報担当者は「現在の機材での運用は本年度で終了するが、来年度はまた新しい機材を水沢キャンパスに導入する予定だ」と説明。愛称については未定という。
 19日に開催の銀河フェスタでは午前と午後合わせて13回の見学機会を設ける。所要時間は1回15分。当日午前9時45分から整理券を配布するが、見学時間を選ぶことはできない。1回当たり定員は10人。詳しくは同プロジェクトのホームページ
http://www.cfca.nao.ac.jp/pr/20170819
を参照。


ILCの関連企画も(19日の「銀河フェスタ」)

 「いわて銀河フェスタ2017」は19日午前10時から、国立天文台水沢キャンパスで開かれる。開場は同9時半で、キャンパス敷地内に駐車場が設けられる。
 同天文台水沢VLBI観測所や奥州市、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センターで組織する実行委員会が主催。胆江日日新聞社などが後援する。
 特別講演会は3人が登壇。このうち午前11時からは同観測所の本間希樹所長が巨大ブラックホールの最新研究について紹介する。
 スパコン「アテルイ」や20m電波望遠鏡など一部の施設見学、体験には整理券が必要となる。午後7時からは星空観察を行う(荒天中止)。
 県南広域振興局主催の小学生向けサイエンス教室「国際リニアコライダー(ILC)って何?」も同時開催。同1時半からILCに関する紙芝居の上演や実験などを予定。定員は20人で、希望者は9日までに申し込む。
 銀河フェスに関する問い合わせは、奥州宇宙遊学館(電話0197・24・2020)。サイエンス教室申し込みは、同振興局企画推進課(電話0197
・22・2812)へ。

機器更新のため本年度で運用終了する天文学専用スパコン「アテルイ」
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