人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

地元企業も商機あり 被災地の「夢」にも(一関で座談会)

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tanko 2013-3-26 5:50
 国際リニアコライダー(ILC)誘致に向け、研究者と地元自治体関係者らによる公開座談会が25日、一関市内のホテルで開かれた。研究者からは、ILC計画に地元企業が参入できるビジネスチャンスが十分にあることが示された。誘致への期待の一方、聴講者からは被災者や原発対策を優先すべきではないかという意見も出た。
 一関市は昨年8月から全6回の日程で、地元企業向けに「ILセミナー」を開催。公開座談会は同セミナーの最終回に合わせ企画され、一般市民ら約80人が参加した。
 研究者や自治体関係者ら6人が発言者となり、ILC計画の進捗状況や受け入れ対応、今後の展望などについて見解を述べた。元高エネルギー加速器研究機構(KEK)教授の吉岡正和・東北大研究推進本部客員教授がコーディネーターを務めた。
 このうちKEKの早野仁司教授は、加速器本体内部を研磨する際、試作品を作る現段階では毒性が強いものを用いていることを説明。「当然、危険性がなく環境に優しい手法が求められる。その辺のアイデアを皆さんが打ち出せるかもしれない」と語り、地元企業にもビジネスチャンスが十分にあるとした。
 胆江地区から参加したNPO法人イーハトーブ宇宙実践センターの大江昌嗣理事長は、「やはり地元の皆さんの理解・周知が欠かせない。沿岸被災地の人からは『将来どうなるのか、目標も無い』と言われる。雇用や子どもたちの夢をかなえる上でも、ILCの存在は意義がある」と述べた。
 会場からは「物理学者にとっては興味深い研究だろうが、どうしても今ILCをやらないといけないのか。原発事故の収束や被災者対策が先決であり、宇宙誕生の謎が分かったところで被災者や地元の人たちは喜ぶだろうか」との意見も出た。
 発言者の一人で、気仙沼市の白幡勝美教育長は「ILCがあって夢が広がるということが今の被災地にとっては大事。ぜひこの夢が広がっていけば」と述べた。

写真=ILC誘致に伴う商機や地域づくりについて意見を述べ合う有識者ら=ホテルサンルート一関
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