人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC誘致 デフレ脱却の起爆剤(経済評論家・三橋貴明氏 水沢で講演)

投稿者 : 
tanko 2017-5-10 14:47
ネックは「PB黒字化目標」

 経済評論家の三橋貴明氏(47)は8日夜、水沢青年会議所(阿部由起男理事長)の創立��周年記念講演会で、北上山地への誘致が期待される素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」について、日本のデフレ経済脱却の起爆剤になると主張した。その上で、ILC実現のネックになっているのが、国の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)黒字化目標だと指摘。「財務省はPB目標を盾に、ILC計画をつぶそうとしている。これを破棄させるには、皆さんが声を上げて国会議員を動かさなければいけない」と主張した。

 会場となった水沢区佐倉河の市文化会館(Zホール)には、市民ら約450人が集まった。三橋氏は経済の入門知識を説明しながら、デフレ状態が長引く日本経済の現状を解説した。
 「バブル崩壊を機に、人々は夢や希望を失い、将来への投資をせず、目先のことしか考えなくなった。とはいえ、民間や家庭に投資しろと言っても現実的には難しいので、本来であれば政府が公共投資をしてデフレから脱却しなくてはいけない。だが、実際には何もしないどころか、むしろ削ってしまっている」と指摘。ILCの実現は、デフレ脱却に必要な有効需要を創出する上で格好の事業であることを強調した。
 デフレ脱却以上に重要な効果が、技術力の向上。「ILCを造ることは決して容易ではないが、困難を解決することで技術力は高まる。ILC建設によってこの地域は『知の中心』となる。もちろん、新しいまちが生まれ、雇用創出やインフラ整備も進む。このような事業をやらない手はない」と主張した。
 さらに三橋氏は、ILC日本誘致の前に立ちはだかる問題として国のPB黒字化目標を批判。「何らかの大きな事業をするときには、支出に見合う税収でイコールにしろという考え方だ。東日本大震災の復興のために創設された復興税がいい例。ILCも同様で、もし誘致するなら他の何らかの予算枠を減らすか『ILC税』のようなものをつくるという理論になる。PB目標を破棄できれば、ILC実現の可能性は大いに高まる」と述べた。「PB目標を破棄させるには、皆さんがしっかり知識武装して、政治の側にどんどん声を上げていくことが大切だ」と呼び掛けた。

写真=デフレ脱却や日本の技術力向上のためにILC計画は意義があると訴えた三橋貴明氏
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