人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

1、3次産業も育成・連携(東北ILC推進協が新創生モデル提示へ)

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tanko 2017-4-29 14:30
 素粒子研究施設・国際リニアコライダー(ILC)の北上山地誘致を進めている東北ILC推進協議会(代表・里見進東北大学総長、高橋宏明東北経済連合会名誉会長)は本年度、ILCを核とした国際研究都市の形成や東北全体の創生を図るため、1次産業や3次産業などの分野を対象とした育成・連携事業に取り組む。本年度中とも言われている日本政府の誘致判断が迫る中、新たな地方創生モデルの提示を目指す。
(児玉直人)

 本年度の事業方針は、28日に仙台市内のホテルで開かれた同協議会総会で示された。総会に先立ち里見代表は、「本年度は誘致を決める重要な年。これまでの加速器関連産業の育成活動に加え、国際的なまちづくりを一層検討していくため衣食住の国際化を進めていきたい」とあいさつ。政府の誘致判断に向けた動きが正念場を迎えることにも触れ、「ILC推進の司令塔である協議会の役割を果たしていきたい」と述べた。
 本年度事業の柱の一つである1次産業や3次産業も加えた地場産業の育成は、ILCを核とした国際研究都市を構築する上では必要不可欠な取り組み。同推進協をはじめとするILC関連の誘致団体では、加速器本体やそれらを支える関連機器、土木・建設技術などを中心としたセミナーや企業交流会が多く行われており、団体加盟企業も2次産業に分類される業種が目立っていた。いわゆる「加速器関連産業」の育成と連携に力を注いできた。
 しかし、研究者やその家族、見学者などの受け入れ態勢を整える上では、地域の1次産業や3次産業、さらには地域の活動団体などの協力や育成も不可欠。ILC誘致によってもたらされる波及効果は、研究や技術開発面のみならず、日常生活に身近な食産業やまちづくりなど多岐に及ぶため、産業全体や町内会、商店街といった地域レベルの団体などの協力と国際化に向けた育成が必要となる。
 育成事業は、同推進協事務局を務める東北経済連合会(東経連)が設置する民間支援組織「東経連ビジネスセンター」と連携し、観光や食などに関する産業の育成を推進。多くの人材が定着、交流できるようなまちづくりの検討も進め、新たな地方創生モデルの提示を目指す。
 総会では、関係自治体や団体の代表者による決意表明も行われ、本県の達増拓也知事は「いよいよ正念場。やるべきことをしっかりやり、全国の皆さんにもILCの意義を理解してもらえるよう頑張りたい」。奥州市の小沢昌記市長も「決断を待つばかりではなく、皆さんで何ができるかを考え、大きなうねりを起こしていこう」と呼び掛けた。

写真=本年度事業などを決めた東北ILC推進協議会の総会
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