人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

誘致実現へコスト削減策 当初比30%圧縮見込む(5月までに詳細集約)

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tanko 2017-3-12 16:10
 北上山地が有力候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の早期実現のため、ILCを推進する研究者らは今年5月までに、直線20kmの加速器によって実験をスタートさせるコストダウン策をまとめる。東京大学素粒子物理国際研究センターの山下了特任教授が11日、市文化会館(Zホール)で開かれた講演会で明らかにした。約1兆円とも想定されていた初期コストから30%の削減が可能といい、各方面から懸念されている巨額費用の問題解消を目指す。

 講演会は、水沢区を拠点とする民間のILC誘致団体・いわてILC加速器科学推進会議と、東京の一般社団法人国際経済政策調査会が主催。山下特任教授は「早期実現に向けた最終コーナーの状況」と題して講演し、一般市民や県立水沢高校の生徒ら約500人が聴講した。
 ILCを実現する上で大きな課題となっているのが巨額な建設コスト。多額の税金を使うことに国民や海外主要国の理解が得られるか、他の学術分野の研究活動に支障を与えないかという懸念の声が上がっていた。
 コスト問題がILC早期実現の妨げにならないよう、研究者らは昨年12月、盛岡市で開かれたILC関連の国際会議「リニアコライダー・ワークショップ(LCWS)2016」の中で、直線20kmの距離で建設する新方針を打ち出した。当初、ILCは直線31kmの加速器建設を想定し、将来的には55kmに伸ばす予定だった。
 山下特任教授は「既存の円形加速器と違い、直線加速器のILCは後で距離を伸ばせるというメリットがある。これに、装置性能を上げるなどの取り組みを反映させれば、30%の削減が見込める」と強調。「5月までに取り組みをまとめる予定で、誘致実現の可能性は格段に上がる」と述べた。
 東日本大震災から6年の節目であることにも触れ、「ILCが震災復興にどれだけ役立てられるのか、将来に向けてできることを考え、進めていきたい」と決意を示した。

写真=ILC誘致の最終局面に向けた動きについて説明する山下了特任教授

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復興のシンボル 実現誓い黙とう

 水沢区佐倉河の市文化会館(Zホール)では、国際リニアコライダー(ILC)に関連する講演会開催中に、聴講者全員が黙とうをささげた。司会から事前に黙とうを行う旨が伝えられ、東京大学の山下了特任教授による講演を中断。参加者約500人が起立し、1分間の黙とうをささげた。ILCは「東北復興の象徴」とも言われており、関係者は被災地復興にも寄与するような壮大な実験施設と国際研究都市の早期実現を願った。
 会場には小沢昌記市長、高橋由一町長の姿もあった。

写真=黙とうをささげる?LC講演会の聴講者
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