人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

医療通訳ボランティア インドネシア語、追加検討 (奥州市国際交流協会)

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tanko 2016-12-31 10:50
 奥州市国際交流協会(佐藤剛会長)が取り組む医療通訳ボランティアの体制構築が進んでいる。2年目を迎えた本年度、登録メンバーは11人増の28人に拡充。英語、中国語、韓国語、タガログ語(フィリピン)の4カ国語に対応する環境が整った。同協会は新年度、インドネシア語を加えることを検討中で、多文化共生社会の実現推進へ力を入れる。(渡辺学)

 本年度の派遣実績は11件(12月20日現在)で、昨年度1年間の12件にほぼ並ぶ。依頼したのはアメリカとフィリピン出身者で、通訳で使用した言語は全て英語となっているが、昨年度は中国語の依頼も受けている。
 医療通訳ボランティアの登録者は奥州市内在住が21人、奥州市外が7人で、日本人と外国出身者の双方がいる。ボランティアは、通訳依頼を受けた協会から連絡を受け、患者と病院で待ち合わせ。医師と患者と間に入るほか、医療費の支払い手続きなど院内で必要な全ての場面で通訳するのが役割だ。
 同協会が派遣するボランティアは、北九州市や新潟県糸魚川市などでも医療通訳システム構築に携わるRASCコミュニティ通訳支援センター=神奈川県=の研修会受講が条件。同協会は昨年度から年1回、奥州市内で実施している。
 受講者は、プライバシー保護を含めた座学や模擬訓練を行うほか、最終的に試験で一定レベル以上の語学力がある人のみ通訳者と認められる。英語の場合、英検準1級以上のレベルが必要になるという。
 医療通訳ボランティアについて「特に医師から、意思疎通しやすいと言ってもらえる」(同協会事務局)といい、制度開始から2年間では診察のほか、乳児健診に立ち会った事例もある。
 一方、課題は運営経費。研修会費用は市補助で賄っているが、ボランティアに対して協会は、1回の通訳依頼につき交通費1000円(一律)の支給にとどまる。病院では診察までの待ち時間があり、検査が加われば4時間、5時間といった拘束時間にもなるため、制度の安定運営にはボランティアへの報酬も必要。先進地事例では、受益者の外国人患者と病院が折半して報酬を出す事例と、行政が支出する事例があり、同協会は検討を進めている。
 また、現在は県立胆沢病院と総合水沢病院が加入する賠償制度に通訳ボランティアも加えられているため、医療事故による賠償責任への懸念が払拭されているが、奥州市外や岩手県外の医療機関での通訳の依頼を受けたケースの対応方法は検討事項。ただ、同協会事務局は「両病院に理解を示してもらい、ボランティアを進められている。今後も通訳言語を増やし、充実させたい」としている。

写真=通訳を介して行われる診察。市国際交流協会提供の医療通訳ボランティアの体制構築が進んでいる
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