人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC 膨らむ夢、好奇心(奥州市中学生科学研修、KEKなど訪問)

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tanko 2017-1-6 10:40
 奥州市教育委員会が主催する「中学生科学体験研修」に参加している奥州市内の中学生31人は、6日までの日程で学術研究施設が集積する茨城県つくば市を訪問している。5日は、高エネルギー加速器研究機構(KEK、山内正則機構長)を訪問。北上山地が有力候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)とも関連性が高いさまざまな実験施設を目の当たりにし、最先端科学やILC実現へのイメージを膨らませた。(児玉直人)

 旧水沢市時代から続く研修事業。最先端科学の研究現場を直接見たり、そこで働く人たちの姿に触れたりしながら、科学への興味関心を高めてもらう狙い。奥州市内各区の中学2年生が対象で、昨年11月から12月にかけて事前学習を重ね、つくば市での研修に臨んでいる。
 一行は、4日朝に奥州市水沢区大手町の市役所本庁前をバスで出発。初日は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の筑波宇宙センターを見学し、2日目はKEKを訪問した。
 KEKは日本を代表する素粒子物理学の研究拠点。物質の成り立ちや宇宙誕生の謎に迫るため、世界各国から研究者たちが集まりノーベル賞級の研究を繰り広げている。また、北上山地への誘致が期待されているILCの実験装置の開発も行われている。
 生徒たちはKEKの概要などを紹介する動画を観賞した後、敷地の地下に設置されている1周約3kmの円周加速器「KEKB」や、KEKBで加速した電子、陽電子を衝突させ、その反応を調べる巨大測定装置「Belle検出器」などを見て回った。
 素粒子が駆け抜ける加速空洞が円周状に配置されたKEKBに対し、ILCは直線状に加速器が配置されるものの、基本的な構造や実験の方法は同じ。生徒たちは、KEK内の実験施設を目の当たりにしながら、コンピューターグラフィックス(CG)などでしか目にしていないILCの姿やそこで行われる研究のイメージを膨らませていた。
 市立衣川中の元島樹(もとじま・たつき)さん(14)は「最先端の技術をこの目で確かめたくて参加した。細かい部分までよく考えて実験していることや、研究者だけでなく技術者など多くの人たちが携わっていることも分かった。ILCではビッグバン(宇宙誕生時の大爆発)直後の様子を再現するといい、今は分からないことが解明されるようになれば」と話していた。
 一行は6日、つくばエキスポセンターを見学後、帰路に就く。今月25日には、市役所江刺総合支所で研修報告会を行う。

写真=素粒子ビームの進行方向を曲げる「偏向磁石」の説明を受ける生徒たち
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