人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

可能性見据えて思案(加速器関連産業参入狙う製造業)

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tanko 2017-1-1 12:10
 昨年12月、盛岡市で開かれた国際会議「リニアコライダー・ワークショップ(LCWS)2016」で、県内外の加速器関連企業などによる企画展が開かれた。
 奥州市江刺区愛宕字金谷のサンアイ精機は、粒子ビームの偏向装置を提案。同社は、精密加工する金属部材を固定する器具「強力マグネットチャック」を製品化しており、本年度の東北地方発明表彰中小企業庁長官賞に輝いた。
 強力な磁力で金属部材を固定し、精密加工時の誤差や部材損傷を最小限に食い止める。電力は使用せず、熱も発生しない。スイッチ一つで磁力発生のオン・オフが可能。この特性を利用し、加速器装置で必要となる粒子ビームの進行方向を操作する部品を試作した。
 とはいえ同社の菊地寛会長は、最初から加速器本体部分への参入を狙っているわけではない。地元には大手にはできない仕事があるという。
 「例えば『この部分を少し削ってもらえないかな』というような日常的なメンテナンスは、時間やコストのことも考えると、現場に近いところでやったほうが断然いい。まずは『うちは、こういうことができる会社だ』というのを示したい」
 高エネルギー加速器研究機構(KEK)への素粒子実験装置部品を手掛けた実績を持つ千田精密工業=奥州市前沢区五合田=も企画展に出展した。千田ゆきえ取締役は「何ができるか手探り的なところもあるが、このような場に参加してアンテナを高くしていく必要はある」と話す。


写真上=試作したビーム偏向磁石を手にするサンアイ精機の菊地寛会長
写真下=LCWS企業展会場には、加速器の内部を研磨する装置のモデルも展示された
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