人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

候補地の雰囲気つかむ(LCWS2016参加研究者 奥州・一関両市を視察)

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tanko 2016-12-10 6:10
 素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」に関連した大規模な国際会議「リニアコライダー・ワークショップ(LCWS)2016」は9日、5日間の全日程を終了し閉幕した。最終日は参加研究者が奥州、一関両市を視察。有力候補地の北上山地を直接見て、現地の雰囲気を肌で感じ取っていた。
(児玉直人)

 LCWSは、ILCのように加速器を直線状に並べて素粒子実験を行う研究分野を対象としており、年に一度開催。ILC有力候補地の地元での開催となった今回は、22の国と地域の研究機関や大学に所属する当該分野の研究者350人が参加した。
 盛岡市のいわて県民情報交流センター(アイーナ)と、盛岡地域交流センター(マリオス)を会場に全体会議や分野ごとの会議が繰り広げられた。期間中、アイーナでは地域の魅力を紹介するイベント「いわてまるごとフェア」や、県内外の加速器関連産業の技術を紹介する企業展示会も併催された。
 最終日の9日は、午前中に今回の開催内容を締めくくる全体会議がアイーナで行われた。その後、参加研究者のうち約100人がバス4台に分乗し、ILC建設候補地を視察した。
 一行は、水沢区佐倉河の市文化会館(Zホール)やスーパー、飲食店が集積する商業地域をバスの中から見学。国道343号を経由し一関市大東町の大原市民センターへと移動した。
 センター2階大会議室には、候補地一帯を立体視できる航空写真をはじめ、ボーリング調査で採取された花こう岩の岩盤サンプルなどを展示。奥州、一関、気仙沼3市のILC誘致に向けた取り組みなどもパネルや写真で紹介した。
 フランス国立科学研究センター(CNRS)研究部長のドゥニ・ペレ=ガリクスさん(60)は、CNRS日本事務所長などを歴任したこともあり、東京や茨城県つくば市に8年間滞在していたが、岩手を訪れたのは初めて。「とてもいい場所で、多くの人たちが歓迎してくれた。北上山地の雰囲気は、自宅があるジュラ山脈にとてもよく似ている。温泉も好きなので、ILCができたらぜひ住んでみたい」と観光ポスターを見ながら笑顔で話していた。「CERN(欧州原子核研究機構)でヒッグス粒子が発見されたが、ヒッグス粒子が一体どんなもので、どうして誕生したのかを知ることができるのがILC。私たちが研究している分野の未来にとって必要な施設だ」と建設の意義を強調した。

写真=候補地一帯を立体視できる航空写真を見る外国人研究者ら
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