人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

地域の未来像展望 候補地の首長ら討論(盛岡で県民集会)

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tanko 2016-12-7 10:30
 奥州市江刺区東部を含む北上山地が有力候補地となっている、国際リニアコライダー(ILC)の誘致実現の機運を高める県民集会「ILCシンポジウムin岩手」は6日、盛岡市愛宕町の盛岡中央公民館で開かれた。パネルディスカッションでは、奥州市の小沢昌記市長ら候補地の地元自治体首長らが、ILCを通じた地域社会の未来像について意見交換。小沢市長は、地域の魅力ある資源や天文研究施設が立地し科学的な風土が根付く市の特色をアピール。「サイエンス・ファースト」の意識を持ってまちづくりに臨む必要があることを強調した。
(児玉直人)

 岩手県ILC推進協議会(谷村邦久会長)と、東北PPP(公民連携)推進連絡協議会が主催。盛岡市内では5日からILCに関連した大規模な国際会議「リニアコライダー・ワークショップ(LCWS)2016」が開かれており、会議期間中に地元の熱意を全国や世界に発信しようと、LCWSの関連行事に位置付け実施した。
 集会には300人余りが出席した。前半は県立大学の鈴木厚人学長がILC計画の現状と地域に対するインパクトについて講演。
 続くパネルディスカッションでは、小沢奥州市長のほか勝部修・一関市長、佐藤光彦・盛岡市副市長、赤川郁夫・宮城県気仙沼市副市長、大平尚・岩手県政策地域部長が登壇。東北大・岩手大客員教授の吉岡正和氏が司会を務めた。
 小沢市長は、奥州市の魅力ある食や祭り、歴史文化に加え「緯度観測所の時代から100年の歴史を誇る国立天文台水沢VLBI観測所がある」と紹介。こうした風土を生かし、ILCを迎え入れるまちづくりを進める上で必要な視点として「サイエンス・ファースト」の重要性を強調した。
 「サイエンス・ファースト」は、5日のLCWS2016全体会議でILC国会議連会長の河村建夫衆院議員が用いた言葉。小沢市長は「例えば、研究者のためにIT環境を充実させることは、市民の利便性向上にもつながる。このような取り組みは、今から始めてもよい」との考えを示した。
 同じく候補地の地元首長である勝部一関市長は、農業振興や世界遺産・平泉などの文化資源とILCをどう生かすのか「周辺地域も含めて戦略を練る必要がある」と主張。「何から先に手をつけるか、進展状況を見極めながら進めないといけないが、もうILCを待っている状況から脱却し、物事を進めなければいけない」と述べた。
 盛岡市の佐藤副市長や気仙沼市の赤川副市長も、それぞれの地域が持つ強み、特色をアピールしながらILC実現に向けた取り組みへ動きだす必要性を強調した。

写真=ILCとまちづくりについて意見を述べる小沢昌記奥州市長(中央)
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