人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

日本政府の判断期待 リン・エバンス氏(LCC最高責任者)が会見

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tanko 2016-12-7 10:30
 国際リニアコライダー(ILC)計画を推進する国際的な研究者組織リニアコライダー・コラボレーション(LCC)のディレクター兼最高責任者のリン・エバンス氏(ロンドンインペリアルカレッジ教授)らは6日、国際会議「リニアコライダー・ワークショップ(LCWS)が開かれている盛岡市内で記者会見し、来年1月からのLCC新体制を発表した。任期は3年。LCCは当初、今年末までの活動を見込んでいたが、日本政府がILC建設計画の受け入れを決断しておらず、取り組みを継続していく必要があると判断した。
 ディレクターはエバンス氏が続投。副ディレクターも引き続き、村山斉氏(カリフォルニア大バークレー校教授)が務める。LCCを構成するILCの研究グループのリーダーには、新たに道園真一郎氏(高エネルギー加速器研究機構・研究主幹、教授)が就任。物理・測定器分野は山本均氏(東北大大学院教授)に代わり、ジム・ブラウ氏(米オレゴン大教授)がリーダーとして指揮を執る。ILCと並ぶプロジェクトの柱であるコンパクト・リニアコライダー(CLIC)分野のリーダーは、スタイナー・スタプネス氏(CERN)が引き続き務めることになった。
 エバンス氏は「日本政府が計画を受け入れるポジティブな判断をしてくれると期待している」と述べた。そのためにも「科学の観点からの価値、国際組織を日本のこの地でホストすることの価値、文化や科学技術の面での価値など、さまざまな価値を情報提供していく」と話した。
 ILC計画実現の大きな課題となっているコスト削減については、段階的に加速器の距離を延ばし、数十年かけて最終的な計画延長に仕上げる案を説明。「この方法であれば初期投資が少なくて済み、新たに延長するときには現在の技術よりさらに進んだ技術で加速器を開発することができる」と話した。
 地元岩手の受け入れ態勢については「十分に努力してもらっている」と評価。計画実現に向けて「地元からも日本政府に粘り強く働き掛けていくことが大事ではないか」と述べた。
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