人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC実現へ日欧連携の必要性強調(IEEE NSS/MICで階議員ら講演)

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tanko 2016-11-4 9:50

 フランス北東部の都市、ストラスブルグで開催している放射線技術に関する国際会議「2016 IEEE NSS・MIC」で、国際リニアコライダー(ILC)に関する講演が行われ、ILC議連の階猛氏(衆院岩手1区)や県立大学の鈴木厚人学長らが登壇。ヨーロッパの科学技術関係者ら対し、ILC実現に向けた協力関係の構築を求めた。同会議会場には、東北ILC推進協議会(事務局・東北経済連合会=東経連)によるPRコーナーも設置された。
(児玉直人)

 IEEEはアメリカに本部を持つ電気・電子工学技術の学会。毎年、放射線を利用した基礎研究に関するシンポジウム「NSS(Nuculear Science Symposium)」と、医療系分野への放射線利用に関する会議「MIC(Medical Imaging Conference)」の2分野を合わせた国際会議を開催している。ILCで行われる研究や波及効果は両分野に関連性があり、世界的に権威があるとされる同会議は、絶好のプレゼンテーションの場となった。
 10月29日から11月5日までの会期中、階氏らの講演は10月31日に行われた。同行した東北大学大学院の山本均教授や、東経連の西山英作・産業経済部長によると、鈴木学長はILCの概要やこれまで日本が参加してきた国際研究の実績を紹介。「日本にはILCを実現するための加速器技術力がある」などとアピールした。

 続いて登壇した階氏は、東日本大震災に対する支援へ感謝を伝えながら、「北上サイトはILC建設に適している」と強調。ILC議連のメッセージとして、コスト削減などについて話し合う日米間の協議グループが立ち上がっており、ヨーロッパにもその輪を広げたいと伝えた。さらに新渡戸稲造(盛岡出身)の言葉「願わくは、われ太平洋の橋とならん」を引用し「ILCにとってのこの“橋”は、今は日米間に形成されつつある。次のステップはユーラシア大陸に日本とヨーロッパをつなぐ道を築くこと」と述べ、協力を強く求めた。
 会議会場には企業等による展示スペースも設けられ、東北ILC推進協もPRコーナーを開設。西山部長によると、多くの会議参加者の関心を集めたという。

写真1=IEEE主催の国際会議で講演する階猛氏(左) 東北大大学院・山本均教授提供
写真2=会議会場に設けられたILCのPRコーナー 東経連・西山英作部長提供
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