人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

地震や火山 実験でメカニズム学ぶ(日本測地学会が小中学生公開講座)

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tanko 2016-10-25 14:20
 地震や火山爆発といった災害を引き起こす自然現象のメカニズムについて、第一線の研究者たちが子どもたちに解説する講座がこのほど、水沢区星ガ丘町の奥州宇宙遊学館で開かれた。日本測地学会(日置幸介会長)が初めて企画。鳥取県内で大地震が発生した直後の開催とあって、子どもたちや同席した保護者らの関心も高く、真剣な表情で実験に臨んでいた。
(児玉直人)

 同区佐倉河字石橋の市文化会館(Zホール)で開かれた第126回講演会(秋季講演会)に合わせ開催。同学会ではこれまでも、一般向けの公開講座を実施してきたが、子ども向けは今回が初めて。京都大学理学研究科地球物理学教室の風間卓仁助教(34)=山形市出身=が理科教育に興味があり、学会側に働き掛け実現した。
 午前と午後2回の講座には、児童生徒31人が参加し、保護者らと実験に挑戦。秋季講演会に参加していた風間助教はじめ、同大学や東京大学地震研究所などに所属する若手研究者7人が指導した。
 地震のメカニズムの実験では、透明なプラスチック容器の中に小麦粉とココアパウダーを交互に詰め、しま模様の地層を再現。容器の隅に立てていた木のへらをスライドさせ地層に力を加えると、表面が盛り上がり地層のしま模様がギザギザを描く逆断層が形成された。江刺区の市立田原小学校4年の早川光君(9)は「へらを動かすのに意外と力が必要だった。地面の下でこのようなことが起きているのが不思議」と驚いていた。
 鳥取県内で大きな揺れを伴う地震が発生するなど、国内ではここ最近、日常生活に不安をもたらす自然現象が頻発している。風間助教は「『測地学』と聞いただけでは難しそうな学問のように聞こえるが、身近な自然現象を研究の対象にしている。カーナビゲーションや人気ゲームの『ポケモンGO』に使われているGPS(全地球測位システム)との関わりも深い」と強調。「身近な材料を使った昔から行われている実験方法だが、普段過ごしている地面の下で何が起きているのか、理解してもらえたら」と話していた。

写真=小麦粉とココアパウダーを使って再現された逆断層を観察する児童ら
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