人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

EU離脱と素粒子研究 影響や展望を解説(英国の教授)

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tanko 2016-7-18 11:50
 英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱派が勝利したことと、国際リニアコライダー(ILC)など素粒子物理学の大型プロジェクトに与える影響についての解説記事がこのほど、国際研究者組織「リニアコライダー・コラボレーション」(LCC)に掲載された。記事では「英国の研究機関にとっては明るい話題ではない」としながら、ILCなど線形加速器の国際プロジェクトに、英国は今後も貢献していくだろうとしている。
 記事を執筆したのは、オックスフォード大学ジーザス・カレッジのフィリップ・バロウズ教授。バロウズ教授は、欧州合同原子核研究機構(CERN)が中心となり計画している小型線形加速器実験施設「CLIC」の調査副責任者などを務めている。
 バロウズ教授は「CERNは独立した国際組織で、欧州経済共同体(EUに機能継承し2009年廃止)が発足する3年前に誕生した。英国は創設時からのメンバーで、今回のEU離脱の投票結果と、CERNに参加し続けることに影響はない。CERNのメンバーになっていないEU加盟国もあるし、その逆もある」と説明。欧州内だけでなく、日本や米国などの国々とも連携していることも紹介した。
 その上で「確かに英国の研究者たちはEUを通じ、毎年多額の研究資金を調達している。EU離脱が現実のものとなるかどうか、今後もEUの研究基金から資金を得られるのかどうかについては、まだ疑問の余地がある」とした。
 EUに加盟していないノルウェーやスイスは、EUが実施している科学研究事業に対し、資金拠出を含めた協力をしているという。「英国も同じような道を歩むかもしれない」とバロウズ教授。「英国の研究者界にとって、EU離脱は決して明るい話題ではないが、これからも国際的な連携をとり貢献したい。この貢献の中には、(ILCやCLICなどの)線形加速器プロジェクトも含まれる」と強調した。
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