人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

調整役人材の育成急務(文科省・ILC有識者会議)

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tanko 2016-7-8 9:10
 文部科学省の国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議(座長・平野真一名古屋大学名誉教授)の第5回会合は7日、東京都千代田区の同省3階特別会議室で開かれ、ILCに携わる人材の確保・育成に関する課題などについて協議した。委員からは研究や建設の中心的な部分に携わる人材以上に、研究や企業の間でマネジメント(管理)するような人材の育成が急務だとする意見も出された。また事務局の同省研究振興局からは新たに検証すべき課題として、建設地自治体による費用負担を含めた貢献、地理的・地質的条件、建設の際に留意すべき法規制などが示され、今後、内容によっては新たな作業部会を設置し検討していくことを確認した。
(児玉直人)

 同有識者会議はILCの日本誘致を実現する上で解決すべき課題などを検証。政府判断の参考材料にする。会議内には科学的意義などを詳細に協議する部会に加え、昨年6月の第4回会合で人材確保に関する部会を新たに設置した。
 同部会がまとめた報告書によると、ILC建設には相当量の人材が必要になるものの、国内の現状では質・量とも圧倒的に不足。国内の加速器関連事業を継続する上では、ILC計画の実施可否を問わず、人材育成・確保は必要だと指摘した。その上で、必要な人材は建設作業の進捗状況などによって変化することから、育成した人材が次のステージへと進める環境を確保することの必要性も示した。
 このほか、海外からの人材供給も想定する中、住環境や各種生活のサポート、一緒に暮らす家族への生活支援については、建設地の地元協力を得つつ整えることが重要だとした。
 出席委員からは「大型プロジェクトのマネジメントについては、大学でもなかなか教えていないし、そういった役割をする人材への評価もしてこなかった」との指摘も。研究者と企業、あるいは企業同士を結び付けるような能力を持った人材の育成が急がれることが課題として浮き彫りになった。
 報告された同部会の検証結果については、一部文言の修正を平野座長と担当委員、事務局の間で行った上で、最終的な報告書としてまとめることで了承を得た。
 同日は、今後検討の必要が見込まれる事項について事務局側が提示。建設の際に留意する必要がある法規制との関係や地理的・地質的条件、地元地域や企業の貢献などを列挙した。
 地元による貢献に関しては、ILC関係装置の搬送に必要なアクセス道路の建設やまちづくりなどについて、費用負担の在り方も含め検討するという。
 この日挙げられた検討事項については、その内容によって新たな作業部会を設置して協議することにした。

写真=ILC建設に必要な人材の育成・確保などについて意見を交わした第5回有識者会議(文部科学省)
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