人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

コラム/時針   “「ヒト」と「人」の間”

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tanko 2013-3-3 19:20
 前世代からの遺伝情報にわずかの経験を加え、次世代にDNAをリレーして生命は終わる。まさに、肉体はちりとなり、無辺の空に散らばる
 ▼生命の起源や最初の出現方法はまったく不明だ。地球が生まれて約5億年後、現在同様の温度の海が存在したと考えられている。塩類を溶解した海水で、生命は海の中で誕生したのだろうか。それが自ら文明を創造し、自ら破壊する人になった。そして科学を論じている
 ▼分子生物学は進歩したが、DNAの「意味」の解明は難しい。20年以上前から、量子論が急速に進み、素粒子から原子核まで、物質の基本粒子の知識を得て、宇宙の膨張による物質変化の議論も深化した。物質に質量を与えたヒッグス粒子の存在も間もなく確立するだろう。「ILC」の実験によって、生物誕生の謎は解明できるのか
 ▼生命の原子構造は素粒子論で理解される。物理と科学、生物学の境界はなくなりつつある。分子生物学はDNA構造から出発し、生命起源の問題に迫る。遺伝情報を増殖する生物は必然的に進化過程をたどるが「偶然の支配」では「方向性の変化」が出てくるという
 ▼約500万年前、極度に中枢神経が発達した、サルと人間の共通の祖先的な生物が出現した。ところが、両種の進化は異なった。なぜかは不明で、まさに偶然の支配からだろうか。それとも別の理由からか。人間のような霊長類の場合、中枢神経系は行動の制御以外に「文化」を生んだが、なぜなのか、その説明はつかない
 ▼あらゆる生物はDNAの遺伝情報に支配される。文化を持つ人間は、ある意味で生物の範囲を逸脱していると指摘する学者もいる。生物としての「ヒト」に対し、文化を持ち、持続する「人」の関連はどうなっているのだろう。「ILC」によって、宇宙の始まりに迫り、素粒子など、物質の秘密が理解されるようになれば、人の存在への訴求はさらに深くなるのだろうか?(風)
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