人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

小沢奥州市長、市ILCビジョン携え経済団体に協力要請

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tanko 2016-6-25 11:30
 北上山地への誘致が期待される素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の実現を見据え、まちづくりのあり方をまとめた「奥州市ILCまちづくりビジョン」が策定されたことを受け、小沢昌記市長は24日、ビジョンの趣旨に基づいたさまざまな連携と協力を市内経済団体に求める要請活動を始めた。同日は奥州商工会議所を訪れ、千葉龍二郎会頭らに地元商工団体としてできる取り組みの一例などを説明。「関係者の皆さんの自由な発想で、ILCの普及活動が広がっていってほしい」と期待を込めた。

 同ビジョンは、ILCを生かした長期的な将来像を示すため、同ビジョン策定委員会(亀卦川富夫会長)を組織して策定された。ILC誘致を契機として市民生活や地場産業などのさらなる向上のために期待できる取り組みを明示した一種の行動指針。「奥州から未来を創る」「時空を超えたつながり」「恵み豊かな自然・文化と共生」の将来像を実現するため、▽地域産業振興▽多文化共生の推進と快適な生活環境向上▽次代の人材を育成できる国際教育都市――の3分野ごとに方針を定めた。
 ビジョンに描かれた方針の中には、まだアイデアの段階で時期や場所などを具体的に意識して取り組むには至らないようなものも含まれているが、国や世界の動向などILC誘致の進展状況に応じ、適切な対応が講じられるよう、基礎資料のような性格を持たせた。
 一連の取り組みには、行政のみならず地元産業・経済界の協力が不可欠。小沢市長は、ビジョンの趣旨を市内経済団体の関係者に直接説明し、連携と協力を求めることとした。
 奥州商議所では千葉会頭や菅原新治専務理事らが応対。小沢市長は「ILCがどんなものかは何となく分かってきたが、自分たちの仕事や暮らしとどんな結びつきがあるのかが見えにくいのだと思う。気持ちの上では、まだ対岸の向こうにILCがあるような状況かもしれないが、そこに近づけられるよう『橋をかける』ような作業は必要だろう」と強調。「誘致する上で不足していると思われる部分を一つ一つ考え、対応していければ」と呼び掛けた。
 千葉会頭は「商議所内のILC推進委員会でも話をいろいろと聞いてきてはいるが、誰がどのように動くかその先の『追っかけ』がないような気がする。どのように進んでいくのか、目に見えるような形になってほしい」と述べた。
 懇談の中では、今月28日に開く同商議所の通常議員総会でもビジョンの概要を説明する場を設け、より多くの経済関係者に周知することを確認した。
 要請活動は今後、前沢商工会(7月1日)、JA江刺(同8日)、JA岩手ふるさと(同8日)の順で行う。

写真=ILCまちづくりビジョンの趣旨を説明する小沢昌記市長(左奥)
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