人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

国際研究施設とまちづくり 胆江、両磐4首長ら意見交わす(来月シンポ)

投稿者 : 
tanko 2016-5-16 14:10
 国際リニアコライダー(ILC)の受け入れ態勢やまちづくりについて考えるシンポジウム「ILC実現と地域社会の展望」は、6月11日午後1時半から市文化会館(Zホール)で開かれる。いわてILC加速器科学推進会議(亀卦川富夫代表幹事)の主催で、昨年実施した関係自治体の首長らによる討論を今回も実施。顔ぶれを胆江、両磐4市町の首長とし、ILC誘致実現を見据えた地域将来像について意見を交わす。
(児玉直人)

 江刺区や一関市の東部などが候補地となっているILCは、世界に一カ所だけ建設される素粒子物理学の国際研究施設。ノーベル賞級の頭脳を持った物理学者らが実現に向けた体制を整えている。微細な振動さえも許さない実験を行う必要があり、地中に花こう岩帯が広がる北上山地が有力候補地となっている。国際組織「リニアコライダー・コラボレーション」は、同山地の環境に合わせる形での詳細設計を進めている。
 文部科学省のILC有識者会議で日本に誘致する上でのメリットや課題などを協議。国の誘致判断やその後の国際協議などがスムーズに進んだ場合、運用開始は2030年前後と見込まれている。
 学術的な意義はもちろんのこと、世界唯一の研究施設が誘致されることにより、地方創生や教育振興、産業振興などさまざまな面に計り知れない波及効果が及ぶこともあり、候補地の地元自治体の一つである奥州市は「ILCまちづくりビジョン」を策定。また、東北大学と東北経済連合会は東北全体としての受け入れ態勢を整えるための基本構想「ILCを契機とした東北・北上エリア グランドデザイン」の策定作業を進めており、来月中にも成案化する見通しだ。
 一連の流れを受け水沢区を拠点に活動している同推進会議は、「ILCをいかにまちづくりに生かし、地方創生につなげていくかが問われている」とし、昨年に続き候補地周辺の首長らによる討論会を開き、地域社会の展望を考える機会を設けることとした。
 昨年7月に同会議が開催したシンポジウムでは、胆江2市町と気仙3市町(陸前高田市、大船渡市、住田町)の首長らが登壇したが、“第2弾”となる今回は自動車の「平泉ナンバーエリア」の首長と誘致関係者に出席を依頼した。
 テーマは前回と同じ「わがまちの未来絵図とILC」。登壇者は小沢昌記奥州市長、高橋由一金ケ崎町長、勝部修一関市長、青木幸保平泉町長、鈴木厚人県立大学長(高エネルギー加速器研究機構・前機構長)、佐々木淳・県科学ILC推進室長の6人。司会進行は岩手大・東北大客員教授の吉岡正和氏が務める。討論の前段には、鈴木学長による基調講演「ILCと地方創生」を予定している。
 聴講は無料。申し込みに関する問い合わせは、奥州市役所ILC推進室(電話0197-24-2111、内線415)へ。
トラックバックpingアドレス http://ilc.tankonews.jp/modules/d3blog/tb.php/473

当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281

ページの先頭へ移動