人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

キーワードは「東北ぐらし」 基本構想案 明らかに(東北大・東経連)

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tanko 2016-5-13 13:10
 江刺区を含む北上山地に誘致が期待される素粒子研究施設、国際リニアコライダー(ILC)の受け入れ態勢を整えるため、東北大学(里見進総長)と東北経済連合会(高橋宏明会長)が中心となり策定作業を進めていた基本構想「ILCを契機とした東北・北上エリア グランドデザイン」の概要案が12日、明らかになった。「東北ぐらし」をキーワードに、ILC誘致実現による東北地方での質の高い「暮らし」が、地元住民や研究者を問わず実感できるような地域将来像を描いている。東経連関係者によると、6月の成案化を目指しており、基本構想をたたき台とした基本計画策定作業を年内に着手する。(児玉直人)

 基本構想の概要案は、仙台市内のホテルを会場に同日開かれた東経連主催のILC関連シンポジウムで出席者に配布された。基本構想の策定作業は、早稲田大学の伊藤滋特命教授(都市計画)を委員長とする同グランドデザイン検討委員会で進められた。伊藤特命教授を除き、メンバーは東北大関係者が中心となっており、東経連と共に内容を練った。
 概要案では、東北や北上山地周辺の現状や課題について「ILCに関するすべての研究者らが地域に居住しても人口減少を食い止めることはできない」と指摘。イノベーション(技術革新)の創出や地域の強みを生かした地域づくりに取り組むことが重要としている。その上で、現時点のスケジュールでILCの建設完了から運用開始に移行する2030年を見据え、イノベーションによる質の高い「東北ぐらし」の実現で、東北・日本の活力を創造するとしている。
 具体的には【1】伝統や歴史が融合した「住みたくなる東北ぐらし」【2】豊かな食材に付加価値を与え世界の人々を引きつける「オイシイ東北ぐらし」【3】豊かな森林資源を活用した「木づかいの東北ぐらし」【4】先端科学技術の集積と歴史文化資源、自然美を組み合わせた「東北ぐらしの体験観光」――の4本柱を掲げ、ILC誘致実現と共に目指すべき東北の姿を描いた。
 東経連産業経済部の西山英作部長によると、基本構想案はさらに内容の精査を進め、6月14日に仙台市内で開かれる東北ILC推進協議会(代表・里見東北大総長、高橋東経連会長)までに成案の形で示せるようにしたいという。
 西山部長は報道陣の取材に「基本構想をベースとして、より実行性の高い受け入れ策を盛り込んだ基本計画の策定作業に着手することになる。基本構想は東北大と東経連中心で作ったが、基本計画では関係自治体も交えて協議することになるだろう」と説明。政府の誘致判断が示される見通しの2017年度末に間に合うよう、今年中に策定作業に着手したいとの考えを示した。
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