人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

動きだす日米連携「今後、さらに加速」 (山下東大特任教授)

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tanko 2016-3-10 9:40
 東京大学の山下了特任教授は9日、仙台市内のホテルで講演し、北上山地が最有力候補となっている素粒子研究施設、国際リニアコライダー(ILC)の実現に向け日米間で進められている連携協議について、大臣級のハイレベル協議から担当者レベルの協議も進み、大きな枠組みがつくられていると説明。「この動きをさらに加速させ、日米連携を核に欧米、アジアと連携枠を広げていきたい」と述べた。
(児玉直人)


 講演会は、東京の一般社団法人国際経済政策調査会(高橋佑代表理事)が主催。ILCの誘致団体や企業関係者をはじめ、小沢昌記奥州市長、勝部修一関市長も聴講した。
 山下特任教授は、超党派の国会議員で組織するリニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟(会長・河村建夫衆院議員)が2月に実施した訪米活動に同行。講演では訪米で得られた成果を中心に、今後の国際連携の進め方について話題を展開した。
 山下特任教授は「ILCだけでなく、国際宇宙ステーションや核融合エネルギー事業、スーパーコンピューターの四つの国際連携プロジェクトをパッケージにして、取り組みを進めようという流れにある。日米フォーラムの定期的な開催やILCに関するディスカッショングループ(討議会合)をつくることも検討している」と述べた。
 ILCを取り巻く海外情勢に関連し、中国の動向にも触れた。中国では大型の円形加速器建設の計画が浮上。実現すれば、世界の素粒子研究の人材がそちらに集中し、ILC計画が頓挫する可能性も指摘されていた。しかし、山下特任教授は「最近の中国経済の失速で、200億円とされた関連予算が10%ぐらいに削減されたと聞いている。ライバルでなくなったわけではないが、急激な失速だと思う」と述べた。
 このほか、文科省有識者会議の中でも指摘されている「国民理解の形成」については、「東北では認知されてはいるものの、外に広がっていない。国内候補地をめぐる動きもあり、大々的に展開できなかったという背景もあるが、もう進めてよいと思う。メディアの協力も得たい」と話した。

写真=ILC実現に向けた日米連携の進展状況などを説明する山下了特任教授
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