人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

海外研究者らも注目(奥州市国際交流協の高校生 意識調査)

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tanko 2015-7-4 10:50
 素粒子研究施設・国際リニアコライダー(ILC)誘致に関連し、奥州市国際交流協会(佐藤剛会長)が実施した市内高校生意識調査に関するリポートが、国際研究者組織「リニアコライダー・コラボレーション(LCC)」のホームページ(HP)に掲載されている。
 リポートをまとめたのは、ILC関係の広報業務を担っているバーバラ・ワームベインさん(ドイツ電子シンクロトロン研究所所属)。バーバラさんは今年4月、岐阜県で開かれた国内外研究機関の広報担当者らによる会議に出席するため来日した。一行は会議終了後、ILC候補地の北上山地を視察し、本県在住外国人で組織するILCサポート委員会(ビル・ルイス委員長)メンバーと、水沢区の奥州宇宙遊学館で意見交換。その際、同協会の調査結果の説明を受けた。
 調査は今年3月に実施。市内の全日制高校7校に通う当時1、2年生(水沢高のみ2年生)だった1408人から回答を得たところ、ILC計画を「知っている」と答えたのは30%。「知らない」と答えたのは68%だった。
 ILCに対する期待や不安も尋ねた。このうち不安に対する回答には▽放射能の影響や事故の発生▽テロの標的になる可能性▽環境破壊▽異文化流入で日本文化が消えてしまうのでは――などの声があった。バーバラさんによると、こうした不安の声は、既存の研究施設でもよく指摘される事柄だといい、「真剣に取り組み、解決しなければいけない課題」と受け止める。
 「地域の信頼とサポートを得ることは、大規模な科学施設実現の成功へと導く鍵となる。不安を取り除き信頼を構築するため、研究者は地域に出向くことになるだろう」とバーバラさん。リポートの最後には、LCC最高責任者のリン・エバンス氏(ロンドン・インペリアルカレッジ教授)が「もし未来の研究施設と地域コミュニティーが共に活動できれば、ILCをよく知らない人たちにも納得してもらえると私は確信している」とのコメントを寄せている。
 リポートはすべて英文。LCCのHP内のニュースラインに掲載している。
(児玉直人) 

写真=LCCのHPに紹介されている奥州市内高校生のILC意識調査のリポート(点線枠部分)

LCCホームページ = http://newsline.linearcollider.org/
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