人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

国際研究施設と奥州市将来像の関係 より身近な視点で描く

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tanko 2015-5-25 12:20
"International Research Facility and a Future Vision of Oshu, Shown from a Personal Point of View"
In English http://www.city.oshu.iwate.jp/htm/ilc/english/news.viewer.html?prm=2015052500

 国際リニアコライダー(ILC)誘致を見据え、奥州市が年内策定を目指すILCまちづくりビジョン(都市構想)は、6月中にも策定委員会や分科会などを設置し、作業を本格化させる。市民らの意見をワークショップによって吸い上げ、分科会で専門的な見地を交えながらビジョンの詳細部分を協議。策定委員会で最終的な姿をまとめる。ビジョンが完成すれば、日常生活や地元産業など、より市民に身近な視点でILCと市の将来像との関係をイメージすることが可能に。地元自治体の具体的な考えを国内外に示すことにもつながりそうだ。
 奥州市江刺区東部などを含む北上山地への建設構想が浮上しているILC。実現すれば国内初の本格的な国際研究施設となる。国内外の研究者、技術者が滞在し、関連企業や生活支援施設などが整備されることも予想されている。
 奥州市は年内を目標に、ILC誘致を意識したまちづくりビジョンを策定。ILCの存在を市のまちづくりに生かすための地域の将来像と、メーンキャンパス(中央研究所)候補地に関する提案の二つで構成する方針だ。
 策定作業では有識者らによる策定委員会と、具体的な協議を担う分科会を設置する。分科会は▽まちづくり・地域生活支援▽産業振興▽福祉医療・教育――の三つを想定しており、各分野の専門家や関連する組織・団体等の参加を求める。
 ビジョン策定のたたき台となるアイデアや地域課題、住民の思いなどは「ワークショップ」で吸い上げる。ワークショップ参加者は一般市民のほか、13年度から開催した「まちづくりアカデミー」の修了者、県立大学の学生らを想定している。
 奥州市ILC推進室は、ワークショップ参加希望者らに対する、趣旨説明会と特別授業を今月31日午後2時から水沢区の奥州宇宙遊学館で開く。特別授業では、独マインツ大学の斎藤武彦教授(原子核構造物理学)が、ILCが地域にもたらす効果について解説する。
 ILCとまちづくりに関心がある人であれば参加可能。特別授業終了後、聴講者からワークショップへの参加意向を調べるという。
 一連の取り組みは、28日に市役所江刺総合支所で開く市ILC推進連絡協議会(会長・小沢昌記市長)の総会で説明する。総会後は、市からビジョン策定支援業務の委託を受けている(株)都市計画設計研究所(東京都新宿区)の三浦幸雄代表取締役による講演会も予定している。
 同推進室の朝日田倫明室長は「11月ごろにはビジョンの形を作り、それに対する市民意見を聞いた上で、年内策定を目指したい」と話している。
 ILCに関連したビジョンとしては、12年に東北ILC推進協議会(事務局・東北経済連合会)が「ILCを核とした東北の将来ビジョン」を策定。ILCが実現した場合の東北地方の未来像や地域経済への効果などをまとめている。
(児玉直人)
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