人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

岩手の「開国」を意識 (県が多文化共生推進プラン改訂)

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tanko 2015-5-18 13:30
 岩手県はこのほど「多文化共生推進プラン」を改訂した。国際リニアコライダー(ILC)誘致や外国人観光客の受け入れ、企業や教育現場におけるグローバル化社会への対応など、県民と世界が直接つながる場面が増加。「岩手の開国」とも言える状況を意識し、外国人と日本人県民が共に暮らしやすい環境を整備していく。
 同プランは2010(平成22)年2月に策定。国境を越えたさまざまな活動が本県でも増えている中、国籍や民族の違いにかかわらず、互いに理解し合い共に生きる「多文化共生社会」の実現に向けた取り組みの方向性などをまとめている。
 今回の改訂は、プラン策定から5年が経過し、対象期間が終了したことを受けて実施。前プランで実施した取り組みの検証や新たに生じた課題、その後の社会情勢の変化などを反映させた。改訂した新プランの計画期間は前回と同じ5年間とした。
 多文化共生をめぐる本県の新たな動きとして、ILC誘致や平泉の世界遺産登録、花巻空港の国際チャーター便運航増加などがある。世界唯一の素粒子実験施設を江刺区東部を含む北上山地地下に建設するILC計画は、事業実施が決定すると外国人研究者、技術者が地域に居住。短期的な来訪者、見学者も増えると言われている。研究者らは家族と一緒に生活することが予想されるため、プランには外国人子弟の受け入れに向けた教育環境の検討なども盛り込んだ。
 このほか、企業の海外展開や教育現場での海外交流など、日本人県民が海外の経済や産業、文化に接する動きも活発化していることから、県はグローバル人材の育成とその活用促進を支援していく。
 外国人県民への生活サポートでは、言葉の壁解消や安心した暮らしの構築を引き続き推進する。日本語の会話はできるが読み書きが不得意であるなど、日本語能力が外国人県民個々に異なることから、それぞれのレベルに応じた指導の充実を推進。並行して、日本語能力が十分でない場合でも、公的手続きや医療、労働など日常生活を送る上で重要な情報を適切に受けたり伝えたりできるよう、多言語での情報提供、医療通訳の派遣体制構築などを進める。
 プランの中で県は、「多文化共生社会実現には解決すべき課題がさまざまな分野にわたるため、あらゆる活動主体の役割と連携が必要。プランは各活動主体が取り組みを実施する際の指針になる。多文化共生社会の実現は、すべての人に配慮した安心・安全な暮らしやすいまちづくりにつながる」と説明している。
 改訂したプランは、県公式ホームページにも掲載。トップページから▽教育・文化▽国際・多文化共生▽多文化共生――の順で進むと閲覧できる。
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