人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

外国人の受診 円滑に(奥州市国際交流協と胆沢病院が医療通訳)

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tanko 2015-4-21 5:40
 奥州市国際交流協会(佐藤剛会長)は今月1日から、岩手県立胆沢病院(勝又宇一郎院長)と医療通訳システムの運用を進めている。素粒子実験施設・国際リニアコライダー(ILC)の北上山地誘致実現を意識し、国際研究都市の構築に向けた具体的な取り組みとして今後、注目を集めそうだ。同協会は同病院での通訳システム導入を足掛かりに、通訳が派遣できる医療機関や対応可能言語の数を増やしたい考え。ILC関連の視察で24日に市内を訪れる海外研究機関の広報担当者にもPRする予定だ。
(児玉直人)

 ILC実現を見据えたまちづくりを進める上では、地域の国際化が重要なポイント。ILCに携わる外国人研究者やその家族を受け入れるための仕組み作りが求められる。
 医療をめぐる環境もその一つ。医療保険制度や治療に対する考え方が国によって異なるケースがあり、正確な意思疎通を図る上では言葉の壁をクリアしなくてはならない。
 同協会は昨年度、市の補助を受け医療通訳ボランティアの養成事業を進めていた。多文化医療サービス研究会=神奈川県=の西村明夫代表らを講師に招き、5回にわたる研修を実施。最終選考を経て、市内外から集まった17人が医療通訳ボランティアとして登録された。
 通訳派遣を受けられるのは、同協会と覚書を交わした医療機関のみ。責任の所在や双方の役割を明確にした上で対応する必要があるためで、「医療機関も協会も、患者さんの命を扱うという点を特に重要視している」と同協会の渡部千春事務局長は説明する。
 通訳の派遣は「日本語の会話が困難な外国人患者が訪れた」など、医療機関側が通訳の必要性を判断した上で行われる。医療機関から派遣要請を受けた同協会は、登録者リストの中から派遣可能な通訳者を探し、病院に向かうよう伝える。
 胆沢病院では運用開始後、中国人患者に対する通訳派遣があった。再来患者で、来院する日も事前に把握できていたこともあってスムーズに対応できた。
 同病院の河野聡事務局長は「外国人患者の滞在期間によっても適応される保険が違う。お互いに確認したいことが言葉の壁によって阻まれてはよくないので、通訳者の存在は非常にありがたい」と話す。現時点で対応できるのは英語と中国語、韓国語の3カ国語のみだが、「ILCが実現したら、さらに対応できる言語を増やしてもらえたら」と希望する。
 同協会は今後、同病院以外にも派遣可能な医療機関を増やしたい考え。対応できる言語やボランティア数の増加、能力向上にも力を注ぎたいとしている。
 今月24日には、ILC候補地視察のため、海外の素粒子物理学研究施設の広報担当者ら12人が県南地域を視察。奥州宇宙遊学館では、奥州市内外の外国人市民らで組織する「ILCサポート委員会」との意見交換が予定されており、医療通訳システムについてもPRする。
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