人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

もっと知りたいILC(理系女子高生、花咲く科学談義)

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tanko 2015-3-31 9:30
 理系コースを選択している女子高生を対象にした「理系女子サイエンスカフェ」は30日、奥州市水沢区東町の水沢サンパレスホテルで開かれた。北上山地への誘致が期待される国際リニアコライダー(ILC)について認識を深めてもらおうと県南広域振興局が主催。ILCを実現させる意義やメリット、安全面などについてグループ討議し、「もっとILCを知る機会がほしい」など科学談義に花を咲かせた。(児玉直人)

 水沢、一関第一の両県立高校から理系コースに在籍する1、2年生355人が参加。国際研究者組織、リニアコライダー・コラボレーション(LCC)でコミュニケーター(広報・情報伝達者)を務める高橋理佳さんを講師に招いた。
 高橋さんはILCの研究概要などに触れながら「ILCは科学をする施設。よく『ILCは何の役に立つのか』という質問を受けるが、分からないものを調べるのが科学であり、科学の成果を利用し役立つものを作るのは科学技術」と説明。現代生活に必要不可欠な電気を例に挙げ「科学が先になけば、私たちの生活に役立つものは生まれない」と強調した。
 日本政府がまだ正式にILC誘致を決めていないことに、生徒からは「政府はあまり前向きに考えていないのか」という質問も。高橋さんは「たくさんのお金がかかるので、政府が慎重になるのは当然。しかし、時間と労力をかけている国はほかにない。ゆっくり着実にという日本風のやり方で進めているのだと信じたい」と述べた。
 生徒同士のグループ討議では、それぞれの夢を語りながら、ILC計画に対し意見を交わした。
 「ILCが来れば、岩手に世界が来るようなもの」「報道関係に就職して、研究成果や魅力を伝えたい」「地域活性化に役立つ」といった意見の一方、「安全面をよく考えた上で建設してほしい」「ILCが来ることで失われるものはないか」「森林伐採や地震の影響はないのか」といった声も。討議を進めるうちに「先にデメリットを考えてしまうが、説明や学習の機会があれば前向きに考えられると思う」「生活の変化に対する不安はあるかもしれないが、ILCは実現してほしい」などの意見で各グループまとまった。
 「安全面やデメリットに関しての情報提供も、私たちはもっとやっていく必要がある」と高橋さん。生徒たちに向け「ILCを利用し、皆さんの夢をさらに膨らませてほしい。ILCの周知を図るため、女子高生ならではのアイデアを寄せてもらえれば」と呼び掛けた。
 水沢高校1年の亀甲由香里さん(16)は「難しい分野だと思って今までは敬遠していたが、話を聞いて思ったよりも楽しく簡単に考えられた。これからももっと目を向けたい」と話していた。

ILCに関するグループ討議で助言するLCCコミュニケーターの高橋理佳さん
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