人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

水沢江刺駅からILC情報発信を(構内交流プラザ、活用求める声)

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tanko 2015-3-26 14:20
 北上山地への国際リニアコライダー(ILC)誘致機運を盛り上げる一環として、JR東北新幹線水沢江刺駅構内の「南岩手交流プラザ」をILC情報発信拠点として活用すべきだとの声が浮上している。重要実験設備が集まる中央衝突点の想定地に至近の新幹線駅であり、同山地を国内候補地に選定した「ILC立地評価会議」が新幹線沿線への中央キャンパス設置を強く推奨していることなどから「水沢江刺駅の持つ優位性を無駄にしてはならない」と誘致関係者。奥州市ILC推進室は新年度、同プラザの活用について検討するという。(児玉直人)

 同プラザは、旧水沢市が「南岩手物産館」の名称で1985(昭和60)年3月の駅開業と同時にオープン。胆江地区のほか、沿岸の気仙地区(大船渡、陸前高田、住田の3市町)や平泉町、旧東山町の物産を紹介している。開設した背景には、請願駅である同駅の建設費を全額地元で用意するため、気仙地区など広域市町村に募金協力を求めた経過があった。
 しかし入館者が芳しくなく、PR機能が十分に発揮されていないなどの指摘があり、1999年2月に内容を見直し改装。待合室やレンタカー案内機能などを兼ね備えた現在の姿になっている。
 駅開業から今年で30年。昨今のILC誘致の高まりを機に、再び同プラザの在り方が見直されようとしている。奥州市の観光事業関係者の1人は「その場で購入できない物産を展示しているだけでは面白みに欠ける。観光物産情報のPR方法を見直すと同時に、ILC関連情報発信の場としても活用したほうが有意義。市のILC推進室を移設させてもいいくらい」と提唱する。
 難解な物理研究の世界や誘致の意義を視覚的に分かりやすく伝えるため、ILC誘致関係者の間では、以前から常設展示空間の必要性を求める声があった。水沢区の奥州宇宙遊学館内にもILC関連の解説展示物があるが、遊学館の見学を目的に来た人でなければ目にする機会はない。
 奥州市と同じく誘致に力を入れている一関市では、JR一ノ関駅の新幹線コンコースにILC地下実験施設の模型を設置している。
 いわてILC加速器科学推進会議の亀卦川富夫代表幹事は「駅開業30周年の今年は、国の誘致判断に影響するILC有識者会議の議論も詰めの段階に入るとみられる。今こそ地元の意気込みを示す重要な時期だ」と強調。「衝突点想定地から近く、中央キャンパスの設置構想なども踏まえれば、水沢江刺駅の果たす役割は非常に大きい。そのような場にこそ情報発信拠点を設けるべきで、積極的に進めてほしい。候補地視察に訪れた国内外研究者の目にもとまる」と訴える。
 同推進室の及川健室長は「新年度事業の中に、水沢江刺駅における普及啓発の検討を新たに取り入れた。交流プラザが開設された経過なども踏まえ、管理を担当している商業観光課と調整を図りながら対応していきたい」と話している。

写真=水沢江刺駅構内の「南岩手交流プラザ」。ILC計画の常設PR拠点として活用すべきだとの声が上がっている
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