人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

地元企業参入に本腰 産業研究会来月発足へ(県が提唱)

投稿者 : 
tanko 2015-1-10 19:40
Setting About in Earnest to Get Local Businesses into ILC market: Prefecture to Propose Starting an Industry Research Society
In English http://www.city.oshu.iwate.jp/htm/ilc/english/news.viewer.html?prm=2015011000

 国際リニアコライダー(ILC)に使われる加速器本体や付随装置などの製造に地元企業参入の可能性を探る県は来月、仮称・いわて加速器関連産業研究会を設立する。ILC実現による地域産業界、経済界への波及効果を確実なものとするための態勢づくりに本腰を入れる。
(児玉直人)

 県と公益財団法人いわて産業振興センター(熊田淳理事長)は昨年10月、「加速器関連産業参入セミナー」を開催。高エネルギー加速器研究機構(KEK)の研究者を招き、ILCで行う素粒子実験に使用される加速器の製造工程や必要な技術、設備機器など学び、県内企業の加速器産業参入の可能性を模索している。
 さまざまな波及効果が列挙されているILC計画だが、関連装置の一部を地元で生産することで地場産業の振興やそれに伴う地域経済の活性化につながるとの期待がある。ただ、ILCに使われる加速器や付随装置は高い精度を要求される。胆江地区を含めた本県内陸部には、ものづくり企業が数多く立地しているが、中小規模の事業所が多いこともあり、加速器関連産業参入を実現するには、事前の態勢整備をはじめ企業同士や研究機関、大学、行政などとの連携が欠かせない。
 県科学ILC推進室の千葉彰室長は「初回のセミナーには約30社参加したが、『自分たちの技も磨けるチャンスだ』と反応はとてもよかった。一方で専門性の高い分野であり、現状の自社設備で対応できるか、参入するにしても投資はどれほど必要かなど見極めているようだ」と話す。
 ILC実現による地元産業の活性化を確実なものとするため、県は2月16日に盛岡市内で開く第2回セミナーの席上で、仮称・いわて加速器関連産業研究会の設立を提唱する方針。地元産業界としての態勢を整える。
 セミナーではKEKの宮原正信氏(特別技術専門職)と山本明氏(ILC計画推進室長)が土木・施設工事の現状や全体の準備状況について講演する。その後、いわて産業振興センターが県内企業の加速器産業参入可能性調査の結果を報告した上で、研究会設立を県側が提案する運び。
 千葉室長は「セミナーには、製造企業のほか土木工事企業の関係者の出席もある。機器製造だけでなく、土木分野の地元参入についてもどう対応していくか、出席者の意見を聞きながら研究会の中身を固めていきたい」と話している。
 セミナーは、加速器関連産業への参入や産学官連携よる共同研究に関心のある企業関係者であれば参加できる。定員150人で参加費無料だが、終了後の交流会は会費制(4000円)。
 申し込み、問い合わせは2月9日までにいわて産業振興センターものづくり振興グループ(電話019・631・3825)へ。

写真=ILC向けに試作された超電導加速空洞(資料)
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