人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

応用分野に期待高く (放射光施設・ILCと共に東北へ)

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tanko 2014-10-26 11:50
 国際リニアコライダー(ILC)誘致への期待が高まる中、ILCにも用いられる加速器技術の利活用をテーマにした講演会が25日、盛岡市上田の岩手大学で開かれた。東北地方ではILCをはじめ、先端科学技術を集結させる構想が進められており、同大学を含む東北地区7国立大学は「東北放射光(ほうしゃこう)施設」の誘致実現に向けた共同提案をしている。講演では、同施設の概要や医療への応用可能性などについて有識者が解説。聴講者の関心を集めた。
 日本学術会議(大西隆会長)の東北地区会議が主催、胆江日日新聞社などが後援した。「加速器科学が未来を拓く」をテーマに一般市民にも公開した学術講演会で、高校生や大学生も含め100人余りが来場。同学術会議の大西会長も出席したほか、奥州市からも市議や市ILC推進室、奥州商工会議所職員らが聴講した。
 放射光は電子や陽電子を加速させた際、磁力によって進行方向を曲げられた時に放出される光。特にも目に見える「可視光線」以外の光を取り出し利用することで、さまざまな物質の構造や性質の解明が可能といい、新製品開発や医学、農業、犯罪捜査など幅広い分野に利活用できることで知られる。
 ILC誘致を契機に放射光施設も東北地方に建設し、産業や医療など一般市民の生活により身近な分野への貢献を図ろうとする動きが高まっている。
 この日は、東北大学電子光理学研究センターの浜広幸教授が「加速器科学の発展と東北放射光施設計画の概要」と題し基調講演。加速器の歴史のほか、放射光の性質などを説明した。放射光は物質構造解明や創薬のほか、バイオリンの名器として知られる「ストラディバリウス」の美しい音色の謎を解析するなど、芸術分野の研究にも使われているという。
 浜教授は「加速器は自然や宇宙の理解のためだけでなく、産業や医学にも使われるようになるなど多様化している。全国の皆さんと連携を図りながら、東北放射光施設の実現を目指したい」と述べた。
 
写真=東北放射光施設について説明する浜広幸教授(岩手大学工学部テクノホール)
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