人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC誘致、現状と課題は (中央大3年の野尻友紀さん、奥州市で調査)

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tanko 2014-9-18 9:40
 ビッグプロジェクトを迎え入れる地方自治体の現状と課題は――。中央大学法学部3年の野尻友紀さん(21)=埼玉県出身=は、奥州市内で繰り広げられている国際リニアコライダー(ILC)の誘致活動の実態を調べようと、同市を訪れている。19日まで市内の関係団体や市担当職員に話を聞き、実情や課題、今後の展望を探る。調査結果は本年度中に報告書としてまとめる予定だ。(児玉直人)

 野尻さんは、同学部の中沢秀雄教授(地域社会学・政治社会学)が開講するゼミナールを受講。中沢教授は毎年、3年生向けの課題として特定の自治体を対象とした総合的調査を学生たちに実践させている。
 東日本大震災直後、同大学の被災地支援活動を統括していた中沢教授は、学生らの滞在拠点を奥州市に置き、沿岸被災地との間を往来していた。その縁があり、今年は同市を調査対象に定めた。
 19日までの現地調査には、野尻さんを含め14人の学生が参加。観光や福祉など、ゼミ生それぞれが調査テーマを設定する中、野尻さんはILC誘致を取り上げた。
 野尻さんは今年3月、事前学習のため、他のゼミ生と一緒に奥州市役所などを訪問。その際、庁舎のあちらこちらに掲示されたポスターやのぼり旗、横断幕に大書きされた「ILC」の3文字が気になった。
 「最初は一体何なのか全く分からなかった。帰ってから調べると、とてもすごい計画だということに気付いた」と野尻さん。同時に「前例のないまちづくりをどのように進めるのか」「市民理解をどうやって得るのか」「外国人の受け入れ対応は大丈夫か」という疑問も湧いてきた。
 ILCの基本知識、日本誘致の意義や課題を知るため、6月23日に都内で開かれた日本学術会議主催の「ILC学術フォーラム」を聴講。さらに、本紙のILC関連記事から誘致に向けた地元の取り組みを調べるなど、情報収集に努めてきた。
 市内滞在期間中は、中学生向けILC出前授業を県や市から委託されているNPO法人イーハトーブ宇宙実践センターや市国際交流協会、市ILC推進室の関係者から話を聞く。野尻さんは「地域住民と外国人が共に生きていく上で、どのような対応が必要になるかも聞いてみたい」と意欲的だ。

写真=ILCの誘致活動や市民理解の実態調査に臨んでいる中央大3年の野尻友紀さん
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