人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

研究者に普及活動の一端 人気集める学習模型(ILDミーティング2014)

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tanko 2014-9-9 11:00
 国際リニアコライダー(ILC)に関連した研究者らによる国際会議「ILDミーティング2014」は、9日で終了する。最終日前日の8日も、水沢区東町の水沢グランドホテルを会場に、国内外の物理学者らが装置の開発方針などをめぐって研究成果を発表したり議論を深めたりした。会場の入り口には、ILCの理解普及へ取り組む地元の様子を紹介するコーナーがお目見え。ILCの仕組みを簡単に再現した学習用模型は、研究者の人気を集めていた。
 参加者は6日に候補地周辺を視察し、7日から会議を本格化させた。ILCに設置する大型測定器「ILD」でどのような物理の成果を得られるのか、ILCを実現する上でILDはどのような役割を果たすのかといった点や、今後の組織などについての発表や質疑が行われた。
 8日、地元で取り組んでいるILCの理解普及活動の様子を紹介するコーナーが会場入り口にお目見え。中学生向けのILC出前授業の様子を紹介する写真や、授業を受けた生徒の感想のほか、市立水沢中学校2年生による手書きの歓迎メッセージも掲げられ、休憩時間に研究者らが立ち寄っている。
 特に研究者の注目を集めているのが、ILCの学習用模型だ。県や市から出前授業の委託を受けているイーハトーブ宇宙実践センターの大江昌嗣理事長が製作。電子や陽電子に見立てた金属球を衝突させ、加速させた小さな粒子をタイミングよく衝突させることの難しさを体感できる。
 衝突が見事成功すると、研究者たちは子どものように大喜び。中には「ヒッグス粒子が見えたぞ!」と笑いを誘う研究者もいた。ドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)のティエズ・ベーンケ博士は「模型はとても面白い。地域の人たちがILCを学ぶことは非常に重要なことだ」と話す。
 同日夜には、プラザイン水沢で小沢昌記市長らが出席しての夕食会が開かれた。9日は総括質疑などを行い、全日程を終了する。
(児玉直人)

写真=研究者たちの人気を集めているILC学習模型。背後には出前授業を受けた中学生の感想や写真なども掲示している
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