人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

奥州の生活に強い関心 国際会議(ILDミーティング2014)が開幕

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tanko 2014-9-7 5:10
 国際リニアコライダー(ILC)に関連した研究者らによる国際会議「ILDミーティング2014」が6日、水沢区を会場に開幕した。国内外の物理学者ら85人が9日までの間、ILCで用いる大型測定器「ILD」について議論を交わすが、参加者のもう一つの関心事が奥州市など候補地周辺における生活環境。6日は現地視察のほか、まちづくりに関する意見交換会も実施され、誘致関係者にとっても国際研究都市を目指す上でのヒントを得られた。
(児玉直人)

 初日に実施した現地視察には、会議に参加表明している85人のうち60人ほどが参加した。
 水沢市街地のホテルを出発した一行は、同区星ガ丘町の国立天文台水沢VLBI観測所を訪問。亀谷收助教の案内で天文広域精測望遠鏡(VERA)など観測施設を見学した。このほか、えさし藤原の郷やILC建設候補地である北上山地、一関市街地、平泉町の中尊寺なども視察した。
 視察後は奥州市役所本庁で、まちづくりに関する意見交換会に臨んだ。外国人研究者5人が代表でそれぞれの考えを発表。特に目立ったのが配偶者の仕事や子どもの教育、公共交通機関に関すること。「研究者には長期滞在者と短期滞在者がいる。それぞれに適した対応が必要だ」などと話していた。
 会議の現地世話人代表を務める東北大学大学院の山本均教授によると、ILCの実現を想定し、候補地周辺に居住することをすでに意識している研究者が、外国人研究者にも相当いるという。
 当初、今回の会議は仙台市を会場にする計画だったが、山本教授は「候補地周辺にはどんな店があるか、外国人に対する教育や医療体制はどうなっているかなど、生活環境に対する関心は非常に高い。仙台でやらずに、こちらで開催することになった理由はそこにある」と説明。受け入れ人数の関係で参加者を85人で打ち切ったが、ILC候補地の地元で初めて開かれる会議に参加したいという研究者は、もっといたという。
 参加者の一人でフランス国立科学研究センター(CNRS)に所属するブードゥリー・ビンセントさんは「この地域はとても景観が美しい。ILCがここに建設されれば、日本の科学技術にとって良いことだし、国際社会にもいいアピールができる」と話していた。
 会議は水沢区東町の水沢グランドホテルを会場に、7日から本格化する。
写真=国立天文台水沢VLBI観測所を見学する国内外の研究者ら
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