人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILCとILD 何が違うの?(用語解説)

投稿者 : 
tanko 2014-9-7 5:00
 水沢区を会場に始まった国際会議「ILDミーティング2014」。国際リニアコライダーの略称「ILC」と一字違いの会議名称とあって、報道記事や歓迎ポスターなどを見ると、一瞬戸惑ってしまいそうだ。そもそもILCとILDは何が違うのだろうか?
(児玉直人)

 ILCは、国際リニアコライダー(International Linear Collider=インターナショナル・リニア・コライダー)の略。「国際」「直線の」「衝突型加速器」という三つの英単語の頭文字で、胆江地区など候補地周辺地域では、ある程度定着している。
 これに対し、今回の国際会議で取り扱う「ILD」とは、ILCで行う電子と陽電子の衝突実験を測定する装置の名称だ。「International Large Detector=インターナショナル・ラージ・ディテクター」の略だという。
 ILCにはILDのほか、「SiD」と呼ばれる測定器も設置する。こちらは「Sillicon Detector=シリコン・ディテクター」の略だ。
 通常、アルファベット表記の略称は、何らかの単語の頭文字を取っている。その単語一つ一つを和訳すれば、何を意味する名称なのか、だいたい理解できる。SiDの場合「Si」は半導体の材料となるシリコンを指す。半導体センサーを用いた測定器であることが分かる。
 一方、ILDは日本語に直訳すると「国際大型測定器」となる。ILDは「ガス飛跡検出器」によって、衝突して散らばった粒子の飛び方を調べるが、略称にはセンサーの種類などを表す言葉はない。「大型」という言葉の「Large」が入っている。実際、ILDのほうがSiDより大きい。
 とはいえ、人間のイラストを交えた完成予想図を見て分かるように、どちらも巨大な装置であることには変わりない。また、複数の国の研究者が協力し合って開発している点も一緒だ。
 高エネルギー加速器研究機構(KEK)によると、測定方法が違う2台の測定器を用いることで、実験結果信頼度を高めることができるという。

写真=右下がILD測定器(ガス飛跡検出器タイプ)、左上がSiD測定器(半導体検出器タイプ)の完成予想図。矢印部分に描かれた人間のイラストから装置の巨大さが想像できる((C)Rey.Hori/KEK)
トラックバックpingアドレス http://ilc.tankonews.jp/modules/d3blog/tb.php/317

当ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は胆江日日新聞社に帰属します。
〒023-0042 岩手県奥州市水沢柳町8 TEL:0197-24-2244 FAX:0197-24-1281

ページの先頭へ移動