人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC「千載一遇の機会」 (研究者の国際組織ICFAが声明)

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tanko 2014-7-28 19:40
 素粒子研究の協力体制などを検討する「国際将来加速器委員会(ICFA)」は、国際リニアコライダー(ILC)計画を支持する声明を発表した。高エネルギー加速器研究機構(つくば市、KEK)は27日までに声明文の概要を日本語に訳して公表。ILCはヒッグス粒子の研究を深める「千載一遇の機会」と位置づけ、建設計画への賛意をあらためて示した。今回の声明で、世界の素粒子物理学界がILC実現へ足並みをそろえていることを明確にした。
(児玉直人)

 世界の加速器研究所の長らで構成するICFAは、1976(昭和51)年に発足。加速器の建設や技術的問題、共同利用について検討している。ILCを推進するさまざまな国際組織、検討チームの上部組織に当たる。
 今回の声明は、スペインのバレンシアで開かれたICFAの会合で採択された。ILC計画への強い支持を明記した米国の素粒子物理将来戦略(通称・P5)の発表後、初めての会合となった。
 国レベルの科学政策立案の指針にもなるP5と同様の戦略計画は、アジアとヨーロッパでもまとめられており、いずれの戦略もILC建設で期待される素粒子分野の研究を優先課題としている。
 ICFAは声明文で「3地域で発表した戦略を支持する」とした上で、「ILCはヒッグス粒子(物質に質量を与える素粒子)の精密測定実現という千載一遇の機会を提供する。ILC計画への賛意をあらためて確認する」とした。
 ICFAのナイジェル・ロッキアー議長(米フェルミラボ国立加速器研究所長)は「3地域が目指す研究と、世界の素粒子研究の方向性が一致していることを喜ばしく思う。素粒子物理研究は、より一層グローバルな活動になっていくだろう」とコメントしている。
 素粒子実験施設のILCは、江刺区東部を含む北上山地への誘致が期待されており、文部科学省内で誘致の是非を判断する検討作業が進められている。
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