人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILC誘致実現で想定される地域国際化  金ケ崎の独自策は?

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tanko 2014-7-20 13:40
 金ケ崎町国際交流協会は19日、町中央生涯教育センターで、北上山地への誘致が期待される素粒子実験施設・国際リニアコライダー(ILC)をめぐる講演会を開いた。奥州市在住の2氏を講師に迎え、参加者を交えた意見交換会も開催。外国人の受け入れ対応など隣市での活動事例を参考に、町独自の取り組みを考えた。


 講演会は「ILCと私たちの未来」と銘打ち開催。ILC誘致後に訪れる外国人研究者とその家族らを迎える環境の充実化を目指し、道筋を探った。
 奥州市内外の外国人ら12人で組織するILCサポート委員会のビル・ルイス委員長(45)と、奥州市国際交流協会の佐藤剛会長(58)が講演したほか、両氏と参加町民ら約30人が意見を交わした。
 米国出身で1992(平成4)年から水沢区内に住むルイス氏は、市長や県知事に対し提言したりILC関連のトークショーに参加したりした活動実績を報告。「国際化はお互いに学び、生活し、受け入れること。ILCを通じて日本人と外国人が協力すれば大きな進歩になる」と呼び掛けた。
 ルイス氏らと連携しながらILC誘致をめぐる各種事業に取り組む佐藤会長は「ホスピタリティー(歓待)」の大切さを指摘。「まず笑顔を心掛けてほしい」とし、実践的な語学学習や、金ケ崎の魅力を再確認する必要性に関して説明した。佐藤会長は「五輪は1週間で終わるが、ILCは30年、50年と長い付き合いになる。語学教育の充実など土壌づくりに取り組めば将来に花開く」とも述べた。
 意見交換会では町内のALT(外国語指導助手)や在住外国人らが、行政関連の通知や量販店などでの多言語表示の必要性を強調。「ILCへの取り組みは奥州市よりも遅れているが、英語教育は進んでいる。英語を話すことが楽しいと感じる子どもたちを育てることが大切」との意見も出た。
 別の参加者は「首都圏に比べると東北地方にはコミュニケーションが苦手な人が多い気がする。謙虚な東北人の気質を踏まえ、打開しなければならない壁もある」と指摘した。
 金ケ崎町国際交流協会の佐藤菊男会長(82)は「講演会を契機に少しずつILCに理解を深め、早いうちに外国人の受け入れ対応について考えておきたい」と話していた。

写真=講演するILCサポート委員会のビル・ルイス委員長
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