人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

リニアコライダー国際推進委、21日発足(委員長に東大の駒宮氏)

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tanko 2013-2-19 5:00
 国際リニアコライダー(ILC)の実現を目指し各国の素粒子物理学研究者らは21日、リニアコライダー国際推進委員会(LCB)とリニアコライダー・コラボレーション(LCC)の2組織を立ち上げる。新体制の下、政府間協議実施への働き掛けなどILC計画実現を後押しする。LCBの委員長には、東京大学素粒子物理国際研究センター長の駒宮幸男教授が就任する予定だ。

 ILC計画の作成は、各国の素粒子物理学界を中心に進められていた。昨年12月、ILC建設や使用装置の詳細をまとめた「技術設計報告書」が完成。担当した国際共同設計チーム(GDE)と実験管理組織(RD)が、上部監督機関であるILC運営委員会(ILCSC)に提出した。
 今回発足するLCBは、ILCSCの後継組織。メンバーは米欧アジアの3極から5人ずつと、委員長となる駒宮教授を合わせた計16人。日本からは駒宮教授と高エネルギー加速器研究機構(KEK)の鈴木厚人機構長の2人が委員に名を連ねる。
 LCBと同時発足するLCCは、LCBの監督下で活動。実験内容や装置など、より具体的な分野の開発を手掛ける。LCCはILCだけでなく、スイスにある欧州合同原子核研究機関(CERN=セルン=)が中心となり進めている「コンパクト・リニアコライダー」(CLIC=クリック=)の研究開発も管轄する。LCCの幹部にも日本人研究者がおり、奥州市内での講演経験もある東北大学大学院理学研究科の山本均教授が「物理/測定器担当ディレクター」を務める。
 KEKが1月に発行した「ILC通信67号」の中で駒宮教授は、ILCの早期実現が研究者間で「切望されている」と指摘。「政治、産業界、官界との連携が重要。日本はこの動きが相当進んでいるが、これを国際的に進める必要があり、(リニアコライダーを)国際プロジェクトとして各国の議論の俎上に載せることがLCBの使命だ」と強調している。
 課題をめぐり各国の意見の違いが出ることも当然あり得るとした上で、「実験グループではこれまでも国際協力で大きな成果を挙げた経験を数多く持っている。リニアコライダーの実現は可能だと信じている」と述べている。
 LCBとLCCの両組織は、カナダのバンクーバーで21日に開かれる会合で正式発足。会議後に開かれる記者会見(現地時間21日午後4時、日本時間22日午前9時)の模様は、インターネット中継される。視聴方法はKEKのホームページで紹介する。
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