人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

【人・ひと】 岩手県・首席ILC推進監を務める 佐々木淳さん(54)

投稿者 : 
tanko 2014-6-8 10:50
郷土の未来へ大人も夢を


 県南広域振興局副局長(企画部門担当)の傍ら、本年度の定期人事異動で「首席ILC推進監」を兼務することになった。
 「住民の皆さまへの理解普及はもちろんですが、地元企業をいかに参入させるかが重要なポイント。しっかりフォローしなくてはいけません」。県庁内に本年度新設された科学ILC推進室と連携しながら、草の根的な部分の取り組みに力を注ぐ。
 大学で情報工学を学び、県職採用後は多くの製造企業を訪問。技術開発で共に汗も流した。一時は総務系の業務に従事したこともあったが、再び学んだ知識と経験をフルに生かせるチャンスがきた。しかも、世界の国々が動くビッグプロジェクトが相手だ。
 一般的には非常に難解なイメージが持たれがちな素粒子物理の研究。実験装置には最先端の技術が用いられる。しかし、及び腰になる必要はないという。
 「確かに精度は高い装置。しかし、構造は非常にシンプルだと思う。県南には大手のように名は知られていなくても、日本や世界に誇れるぐらいの技術を持った会社がたくさんある。ILCに参入できる可能性は非常に大きい。自社の強みをILCのどこに生かせるか、参入に向けた具体的なマッチングの推進に今後着手していく」と力を込める。
 子どもたちに関心を高めてもらう取り組みも重要だ。「既に奥州市では市内中学2年生全員への出前授業を始めていますが、やはり県南全体に広げていきたい」と希望する。今の中学2年生が企業の中堅どころになろうとする30歳前後のころに、ILCは動きだす。「ぜひ今のうちに関心を持ってほしい。研究者を目指す子だけでなく、農業や商業などさまざまな産業がILCに関係してくるのですから」
 ILC完成の暁には、世界中の子どもたちを呼ぶプログラムの実施を思い描く。「ILC本体はもちろん、平泉文化の礎となっている平和思想にも触れてもらいたい。世界の教育拠点というイメージです。世界の子どもたちにとって宝になる地域になってくれたら」と夢は尽きない。
 「だって、大人が夢を持たなければ、子どもだって夢を持たなくなりますよ」
(児玉直人)

 プロフィル…旧大迫町出身。岩手大学工学部情報工学科を卒業し、1983(昭和58)年県職員に採用。子ども2人は既に独立。「勤務地の空気を吸いながら仕事に励むことを基本にしている」と、水沢区北栗林の県職員公舎に妻多喜子さん(54)と暮らす。趣味は読書とゴルフ。
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