人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

奥州市財政 道のり険し(扶助費増大、財源不足が拡大)

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tanko 2014-5-20 11:00
2011〜2032年度 長期見通し修正

 奥州市は19日、普通会計の長期財政見通し(2011〜2032年度)を修正した「見直し版」を公表した。扶助費の大幅増などに伴い2017〜2031年度の財源不足の累計額は旧見通しの118億円から126億円に増えたが、2016年度までに蓄えた基金を取り崩し、一連の行財政改革を推進する前提で2032年度に収支の黒字化が図られると試算した。(若林正人)

 旧財政見通しは、財政計画の策定に伴い2012年3月に作成されたが、人口推計や4月の消費税増額の影響、扶助費の大幅増などを踏まえ修正。市は「見直し版」を19日の議員全員協議会で示し、「財政運営や財政健全化の参考にしたい」と説明した。
 歳入では、景気回復に伴い市税を単年度7〜8億円上方修正。地方交付税を下方修正し、旧見通しに対し2017年度に8億円減、2022年度に2億円減、2027年度に1億円減と試算した。
 2015年度の合併特例措置終了後、地方交付税は段階的に削減され、本来の算定に戻る2021年度は現行水準に比べ単年度で約33億円の減額となる。しかし今回の修正では、合併特例終了後の新たな支援策として国が実施予定の「みなし支所経費」の加算分(単年度約6億円)を見積もり、「措置終了の影響は緩和される」(財政課)と見込んだ。
 地方譲与税・交付金は、地方消費税の増税により大幅に上方修正し、消費税率10%後に単年度で約11億円増。国県支出金も歳出扶助費の見直しに伴い上方修正し、単年度で9〜10億円増とした。
 歳入規模は人口減少に伴い縮小傾向にあるが、2032年度は修正前の395億円に対し、23億円増の418億円になると試算した。
 一方、歳出では社会福祉や生活保護、児童福祉などの経費に当たる扶助費を旧見通しに比べ大幅に上方修正し、単年度で約13〜19億円上乗せした。障害者への自立支援給付費や生活保護費、保育所への入所経費の増加などを勘案した。
 人件費は、第2次定員適正化計画に基づき再推計。単年度で4〜5億円前後を下方修正したものの、2032年度の歳出は修正前の393億円に比べ25億円増の418億円とした。
 2017〜2031年度に陥る財源不足については、2016年度までの収支黒字分を積み立てた財政調整基金を取り崩し対応。しかし市は一連の行財政改革を進めなければ2032年度までに累計約300億円の財政赤字が生じるとみており、「身の丈にあった財政規模」を目指すと主張。「将来へツケを回さない持続可能な行財政基盤の確立や、ILCなど緊急課題に対応可能な柔軟性を確保したい」とした。
 議員全員協議会では市議が「数字の説明だけでなく、行革後の明るい見通しも示すべきだ」などと提言した。
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