人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

参加型プロジェクト 候補地主体で (東大准教授・山下氏が提言)

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tanko 2014-4-23 5:20
 【仙台市=報道部児玉直人】 国際リニアコライダー(ILC)計画を推進する東京大学素粒子物理国際研究センター准教授の山下了氏は22日、仙台市内のホテルで講演。北上山地が事実上、世界唯一の候補地となった今こそ、「社会参加型のプロジェクトを展開する時期。子どもたちの意欲を高めるような躍動感ある取り組みを始めるべきだ」と強調した。

 山下氏は、同日開催された東北ILC推進協議会(代表・里見進東北大学総長、高橋宏明東北経済連合会会長)の本年度総会終了後の特別講演の講師として招かれた。「ILC推進に関わる最新の状況と今後の取り組みについて」と題して最近の動向を紹介。候補地の地元が今取り組むべきことを提言した。
 政府は本年度予算に調査検討費5000万円を計上。文部科学省内では、政府としての正式な協議が始まった。山下氏によると、関係国間との協議も一部始まっている。
 ただ、これら政府内の動きや関係国間との折衝の推移などは、候補地の地元地域からは見えにくいのが現状。中央での協議が進む一方で「候補地周辺の地域は、具体的に何をすべきか」が問われているという。
 山下氏は子どもや若者たちを巻き込むような「社会参加型プロジェクト」を地域が主体で実施すべきだと提言。「今を楽しむという雰囲気が大切。地域づくりの企画を募集したり、お祭り的なイベントをやったりするなど、子どもたちや若者、民間企業の意識を高める取り組みが必要。これがオールジャパンの機運へとつながると思う。地域の人たちが今から知恵を集め、楽しみながらやらなければいけない」と力説した。
 「中央省庁が主体となりプロジェクトを進め、住民意見の反映やプロジェクト参画は、ほぼ形が出来上がってしまったずっと後――というのが今までのやり方。そうではなく、最初から地域主導で参加型のさまざまな事業を展開してほしい」と呼び掛けた。
 同日の推進協総会では、東北以外の組織・団体の入会を認める規約改正などを原案通り承認。政府に対し、国家プロジェクトとして早期に位置付けることなどを求める要望書の内容を決議した。

写真=「地域主体でILCに関する社会参加型の取り組みを実施すべきだ」と強調する山下了氏(仙台市内のホテル)
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