人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

興味引き出す人形劇 子供向けILC解説動画が完成 (盛岡で初披露)

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tanko 2014-3-24 8:50
 岩手県が児童・生徒向けに制作を進めていた国際リニアコライダー(ILC)計画の解説動画が完成し、23日、盛岡市の岩手教育会館で披露された。難解とされる素粒子物理学の研究分野を分かりやすく説明。国際研究都市を見据えた有益な取り組みの一例として、金ケ崎小学校で行われている英語活動の様子も紹介された。県は今後、小中学校や高校などにも配布し活用してもらう考えだ。
(児玉直人)

 これまでのILCに関する講演会や説明会は、物理学者をはじめ地域政策の有識者が講師に招かれ、内容が大人向けであることが多く、聴講者もILCに関心がある人や行政、商工業関係者らが中心だった。このため県などは、次代を担う子どもたちや将来的に地域のリーダー的な存在となる子育て中の親世代に興味や関心を向けてもらう方法を模索していた。
 制作した動画は、宮沢賢治をイメージした先生役などが登場する人形劇風の構成。イラストやコンピューターグラフィックス(CG)、実際の研究現場の様子なども交えながら、分かりやすく宇宙誕生の謎に迫るILC計画を解説している。
 外国人研究者やその家族も地域に滞在することから、国際研究都市に対応したまちづくり、人づくりも求められる。その先進事例として、町立金ケ崎小学校が実施している英語による校内放送の様子なども取り上げられた。
 同日は約200人が来場。会場入り口にはILC計画のパネルや開発中の加速器の部品も展示され、注目を集めた。
 子ども2人と訪れた花巻市の会社員多田利枝さん(42)は「新聞などでILCという言葉は知っていたが、動画を見て実際にどのようなことが行われるか分かった。子どもに質問されても簡単なことなら答えられる」と満足そうな表情だった。
 会場では動画披露に加え、国立天文台の渡部潤一副台長や高エネルギー加速器研究機構(KEK)の藤本順平講師らによる講演や座談会も行われた。県政策地域部の大平尚・首席ILC推進監は「今回は小学高学年以上の子を想定した内容だったが、思った以上に幅広い層が集まった。ILC計画に関しては『とっつきにくい』という声も多く、その壁をどう破るかが課題だった。完成した動画は学校や地域の説明会などで活用していきたい」と話していた。

写真(上)=児童・生徒向けに制作されたILC解説動画
写真(下)=子どもたちの姿が多く見受けられた会場の展示ブース
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