人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

先端技術とビジネス結んで 内永ゆか子氏が持論(盛岡でシンポ)

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tanko 2014-2-17 12:00
 国際リニアコライダー(ILC)建設実現に向けた公開シンポジウム(岩手県ILC推進協議会主催)は15日、盛岡市松尾町の盛岡劇場で開かれた。企業の女性幹部候補生の育成などを手掛けるNPO法人「J-Win」理事長の内永ゆか子氏らが登壇。内永氏は「ILCが誘致され、どんなに最先端の技術が考案されてもビジネスに結び付かなければ非常にもったいない。海外から多様な人材が集まるというILCならではの環境を生かし、グローバル社会に対応した人材を育成し、新ビジネスを生み出すべきだ」と主張した。(児玉直人)

 内永氏は東京大学理学部卒業後、日本IBMに入社。同社初の女性取締役に就任し、退職後はベネッセホールディングス副社長を務めるなどの経歴を持つ。理系出身であり、グローバルな視点で企業経営支援や人材育成に取り組んでいることもあって、ILC関連のシンポジウムで発言する機会が増えている。
 この日は「ILCが秘める“内なるグローバル化”」と題し、ILCの建設や研究成果から導き出される先端技術、波及効果をどうビジネスに展開していくかを論じた。
 ILC実現によって70兆円のビジネスチャンスが生まれるとの試算を示しながらも、内永氏は「このような話は、これまでもよくあった。だが、うまく成し得た例がない」と言い放った。実際、日本は最先端技術を生み出す能力はあるが、その8〜9割が実用化に結び付いていないという。
 「開発と実用化の間には『死の谷』と呼ばれるものができ、日本は特にこの谷が深い。長い時間とお金をかけて生み出された先端技術も、市場ニーズとの不適合やコスト面で分が悪いとしていつの間にか忘れ去られ、ビジネスに結び付かない」と指摘した。
 原因として内永氏は、日本人という同じ考えと文化、価値観を持つ集団の中だけで過ごすことが多かったことを示した。過去の実例を重視する傾向が強くなり、将来を見据えた新たな発想が出にくいという。
 内永氏は「多様な考え方、文化、宗教、価値観を持った人同士が集まることで『死の谷』は乗り越えられる。普通ならば、海外から人を呼び寄せたり、こちらから海外へ出向いたりする必要があった。しかし岩手にILCができれば、自然と優秀な人材が海外からやってくる。このチャンスをしっかり生かし、グローバル社会に対応できる人材をまずは育ててほしい」と訴えた。
 シンポジウムでは内永氏のほか、東北大学大学院の佐貫智行准教授も登壇。ILCの概要や今後のスケジュールなどについて説明した。
写真=ILC誘致とグローバル化に対応した人材育成との関連性について講演する内永ゆか子氏(盛岡劇場)
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