人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

新年度は「本格復興期」 ILCとの連動も(岩手県実施計画・水沢で説明会)

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tanko 2014-2-4 9:30
 東日本大震災による津波被害などからの復興を進める岩手県の「復興実施計画」は、2014(平成26)年度から「本格復興期間」と位置付けられた第2期へと移行。地域合意と協力を基本にした、暮らしとなりわいを支える安全なまちづくりなどを進める。県復興局は、第2期計画1次案の地域説明会を10日まで県内各地で実施しており、3日は水沢区大手町の奥州地区合同庁舎分庁舎3階大会議室で開かれた。

 県復興計画は基本計画と実施計画の2本立て。うち、実施計画は3期間に区分しており、2011(同23)年度から本年度までは第1期「基盤復興期間」として、応急仮設住宅の整備や災害廃棄物の除去など緊急性の高い取り組みを推進した。
 2014年度から3カ年の第2期は「本格復興期間」とし、災害に強いまちづくりを進め災害公営住宅の供給や住宅再建支援をより強力に進めるなど、327事業(うち新規32事業)を盛り込んだ。
 基本的に津波で被災した沿岸市町村に関係する事業が中心。胆江地方など内陸部に関連する事業の一つとして、原発事故由来の放射性物質に係る安全対策、風評被害の払拭などに取り組む「原発放射線影響対策事業」を第1期に引き続き実施する。
 このほか、長期的な観点から地域づくりを目指す対策として第2期計画から「三陸創造プロジェクト」を展開。国際リニアコライダー(ILC)の誘致と連動させる形で、三陸の豊かな海洋資源や地理的環境を活用した海洋生態系や水産技術の研究など、幅広い学術分野に対応した国際研究交流拠点の形成を目指す。
 第2期計画の1次案は県ホームページ、または奥州合同庁舎1階行政情報サブセンターで閲覧できる。今月23日まで計画に対する意見を受け付けているほか、要請があれば出前説明会にも対応する。問い合わせは県庁復興局総務企画課(電話019・629・6944)へ。

「戻りたい。古里だから」 欲しいのは具体情報(内陸部に避難夫婦)
 古里に戻りたい――。県復興局が奥州地区合庁で3日に開いた復興実施計画の説明会終了後、内陸部で避難生活を送っているという高齢の夫婦は、同局の職員らと談話する中で切なる願いを語っていた。
 この日の説明会参加者は18人。夫婦以外は奥州市などの行政職員だった。一般参加者が少なかったことや、計画に盛り込まれた事業のほとんどが沿岸関連ということもあってか、質疑応答はゼロ。予定より30分以上短い1時間足らずで終了した。
 行政職員らが次々と会場を後にする中、復興局の岩間隆副局長は夫婦に声を掛けた。
 山田町に住んでいたという二人。現地の情報がなかなか収集できていないことや、住宅再建の見通しが立たないこと、長引く避難生活での思いなど、ざっくばらんに岩間副局長ら周囲にいた復興局職員に打ち明けた。
 説明会は、どうしても全体的な事業の概要が中心となる。しかし被災住民が何より聞きたいのは「かつて住んでいた地域はどうなるか」「住宅再建するにはどれだけの出費が必要か」など、生活に直結する話題と具体的な見通し。計画の概要や公的な事業方針以上に「自分たち」に関する情報を強く望んでいるように思えた。
 大震災から間もなく3年。夫は「山田に行くには3時間。国道45号が壊れてしまえば終わり。こっちには立派な県道が何本も走っている。道路は重要だなって思ったよ」と、うらやましげに言いながらも、こう続けた。
 「でも山田に戻るよ。だって古里だもん」
(児玉直人)
写真=説明会終了後、復興局職員に思いを語る内陸部に避難中の夫婦
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