人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

2013報道回顧/記者ノートから 早期実現へ九州と共に(ILC候補地決定)

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tanko 2013-12-24 10:30
 「国際リニアコライダー(ILC)を東北に」。市内随所に誘致をPRするポスターやのぼり旗が並び、ステッカーを貼った車が往来。地域ぐるみの講演会、勉強会も数多く開催されている。特にも今年は、国内候補地一本化という大きな節目があったが、その公表はまるで合格発表を待つ受験生のようだった。
 「ILCは時期尚早」。日本学術会議の見解に対する報道が流れた。すんなり答申すると思いきや、どうも議論の雲行きが怪しい。
 真実は現場にある――。とはいえ、酷暑の東京に3度も足を運ぶとは全く想像してもいなかった。
 この見解。正確には、国際交渉や数々の課題などをクリアした上で、最終的な建設のゴーサインを出すべきだ――という至極当たり前のことを言っているにすぎない。国際的な研究者組織リニアコライダー・コラボレーション(LCC)で、物理・測定器の担当責任者を務める東北大大学院の山本均教授は「ヨーロッパにも『時期尚早』がそのまま翻訳され伝わった。ILC計画にそろそろ加わろうと期待していた人たちは非常にがっかりしていた。こちらから『いや、そうじゃないよ』と説明し、理解してもらったが……」と明かす。
 ILC戦略会議議長の山下了氏(東京大准教授)は「国内候補地が北上山地となったことは、世界の候補地になったことだ」と強調する。ただ、この結果に不満を募らせるのが、最後まで国内候補地として残っていた九州の脊振山地の関係者。候補地選定経過の議事録提出を求めた。
 10月上旬、LCC最高責任者のリン・エバンス氏は北上山地を視察し、同山地に特化した設計を進めると明言。加えて「九州もILCプロジェクトの中に組み込むような体制ができないか考えたい」と述べた。
 東北と同様、九州の関係者は国内のどの地域よりもILCを理解している。だからこそ早期実現を推進する、良きパートナーとしてあってほしいと願う。
(児玉直人)

写真=北上山地視察後、記者会見に臨むLCC責任者のリン・エバンス氏(右)と副責任者・村山斉氏
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