人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

北上山地視察し安心感 (LCC副責任者・村山氏)

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tanko 2013-10-20 5:30
 ILC計画を推進する国際的な研究者組織「リニアコライダー・コラボレーション(LCC)」の副責任者を務める村山斉氏は19日、LCCが17日に実施した北上山地視察について「非常に安心した」と振り返った。ILCに対する地元の期待に感謝しつつ「大プロジェクトは、何が起こるか分からない」とも語り、冷静に見守る“忍耐力”を求めた。

 村山氏は19日、東北ILC推進協議会主催の講演会に、高エネルギー加速器研究機構(KEK)名誉教授の吉岡正和氏、ILC戦略会議議長の山下了氏とともに講師として招かれ、ILC計画の意義などを解説した。
 終了後、胆江日日新聞社の取材に応じた村山氏は「今までは地図や資料だけで見ていた場所を実際に訪れてみて、あらためて安心した。山はなだらかだし、思ったより店や町もあるという印象を受けた。一緒に視察した(LCC最高責任者の)リン・エバンス氏も、同じように感じていた」と笑顔で語った。
 北上山地での国際設計がいよいよ本格化することに村山氏は「地域の皆さんには、これからもいろいろと助けていただければ」と述べた。その上で「国際的な大プロジェクトでは何が起こるか分からない。関係国との交渉がうまく進展しないことだってあり得る。実際、アメリカのとある地下実験場は、10年以上前に計画されていながら、今だ実現されていない」と説明。「(ILCも)辛抱強く待つことが求められる」と述べ、誘致に向けた盛り上がりの中にも、冷静に事の経過を見守る姿勢が必要になることを訴えた。
 村山氏は東京都出身で、東北大学に助手として勤務した経歴を持つ。現在は、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構・機構長として、科学界の若きリーダーの一人として国内外で活躍。難解な素粒子物理の世界を分かりやすく解説する講演会や書籍を出版するなど、一般市民や子どもたちへの科学の普及にも力を注いでいる。
(児玉直人)
写真=村山斉氏
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