人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

外国人市民対象に英語でILC説明へ(奥州市国際交流協会)

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tanko 2013-1-12 18:20
 北上山地が有力候補地となっている素粒子研究施設、国際リニアコライダー(ILC)の誘致に当たり奥州市国際交流協会(佐藤剛会長)は、市内在住の外国人市民の協力を得る取り組みを進める。手始めとして19日、外国人市民らを対象にした英語による研修会を開催し、ILCへの理解を深めてもらう。建設地決定に際しては、外国人研究者とその家族の受け入れについて、地域がどれほど熱意を持った対応ができるかが重要なポイントとなっている。

 ILCの建設が北上山地に決まった場合、胆江地区を含めた県南地域には、ピーク時で研究者と技術者だけでも3000人以上が集まると予想されている。外国人が数多く居住することになる。
 欧米社会では家族同伴で移住する習慣があることに加え、移住する人たちに対する各種サービス事業関係の外国人が移住する可能性もあり、実際にはさらに多くの外国人が居住すると見込まれる。
 ILC計画を推進している研究者らは建設地を決定する上で、地盤などの科学的条件に加え、外国人の居住環境や受け入れに対する地元の姿勢を重視している。こうした状況を受け同協会は「外国人と日本人市民がお互いを認め合い共生していくためには、母国を離れ異文化の中で生活している外国人市民がさまざまな面で大きなサポート役になる」として、外国人市民の存在を生かした取り組みを推進することにした。
 同協会によると、昨年7月現在の市内外国人登録者数は468人で、奥州市人口の約0.4%。中国やフィリピンなど近隣アジア諸国が中心だが、欧米出身者もいる。
 ILCは国際的レベルの研究事業ではあるが、外国人市民に対する情報発信は不十分。そこで同協会は、19日午後1時半から奥州宇宙遊学館で外国人市民向け研修会を開催。ILC国際共同設計チーム・アジア地域ディレクターの横谷馨さん(高エネルギー加速器研究機構名誉教授)を講師に招き、英語でILCの概要を説明してもらう。
 当日は平泉町内で外国人向けの世界遺産ガイドを務めている「岩手ひらいずみ通訳・ガイドの会」のメンバーや、県立水沢高校の生徒らも参加する。
 同協会は「外国人市民の多くは『地域のために何か役立つことをしたい』という思いがあり、ILCが実現した際にはとても力強い存在となる。日本人市民に対しても、文化や言葉の違いを乗り越えられるような取り組みが求められてくる。協会として果たすべき重要な役割が、これからどんどん出てくるだろう」と話している。

写真=外国人市民向けに、英語のみで実施するILC研修会のポスター
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