人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

国際都市形成・人材の育成 必要なのは「能力×やる気」 (増田寛也元知事が力説)

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tanko 2013-10-10 9:00
 国際都市をつくる人材に必要なのは「能力」と「やる気」――。元岩手県知事で日本創世会議座長の増田寛也氏は9日、市文化会館(Zホール)で講演し、国際リニアコライダー(ILC)の北上山地建設実現に伴う国際研究都市の形成や人材育成について「子どもたちの得意分野を伸ばすことと、前向きな方向へと進むやる気が掛け合わさることが重要」と強調。「いい地域づくりを実現できるかは、前向きなやる気次第だ」と訴えた。

 講演会はILCの地元推進団体「いわてILC加速器科学推進会議」(亀卦川富夫代表幹事)が主催。増田氏のほか、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の吉岡正和名誉教授も講師に招かれた。
 増田氏は「ILCで築く地域の未来」と題し、ILCをめぐる直近の政財界の動向にも触れながら持論を展開。ILC誘致とオリンピック誘致の違いについて「オリンピックは既に定めたルールに基づき開催都市が決定する。一方、ILCは、費用負担も含めたルール作りからスタートしなければいけない」と説明した。
 「日本が国際的なルール作りの先頭に立ち、2015年ぐらいまで真剣に交渉する必要がある。だが、日本にとっては初めてのことであり、多少苦手な部分かもしれない」と指摘。今後の日本政府の動きに注目が集まるが、「特に主担当となる文部科学省に対しては、理解して動いてもらう環境が必要。そのうねりを岩手、宮城両県がつくってほしい」と要望した。
 地域づくりに関しては、自然や文化など地域固有の資源を生かすことに加え、そこに生きる人材の育成について言及。「(能力×やる気)+つながり力」という独自に考えた方程式を示した。つながり力は、人脈やネットワークを意味するという。
 「子どもたちがそれぞれ持っている魅力、得意分野を引き出していくことで能力はゼロではなく100へと近づく。しかし、能力があってもやる気がゼロであれば、プラスにならない」。さらに「後ろ向きな姿勢は、やる気をゼロどころかマイナスにしてしまう。実際に各地を視察する中、せっかくの良い話も、足を引っ張られて頓挫した――という事例をよく聞く。やる気次第で、いい地域づくりにつながるし、決してマイナスにしてはいけない」と強調した。
 吉岡氏は、ILCの研究意義やがん治療への発展などについて解説した。

写真=ILC計画に絡め、地域づくりと人材育成について持論を述べる増田寛也氏(Zホール)
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