人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

【ひと・人】研究都市へ 今できることを (奥州市のILC推進室長を務める及川健さん(53))

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tanko 2013-9-14 5:20
 旧水沢市職員として水道関係や税務などの仕事をこなしていたが、転機は突然訪れた。1993(平成5)年、県に「科学技術振興室」が設置され、派遣研修職員として白羽の矢が立った。このとき既に、ILCの前身計画「JLC(ジャパン・リニアコライダー)」が水面下で検討され、北上山地の花こう岩岩盤帯に素粒子研究者たちが注目し始めていた。
 一連の情報を知っていたのは、ごく一部の行政職員と首長。完全なる「トップシークレット」だった。「あの時点で表立った活動をしたら、政治力が絡んだ誘致合戦になる。科学的見地からの候補地選定を優先させるための下地づくりに努めた」という。
 県派遣終了後、しばらくは科学技術とは関係のない分野の仕事が続いたが、本年度からILC推進室長に。「県派遣から20年近く経過し、回り回って再びこのプロジェクトに携われた。感慨深い」
 県や国、誘致組織との調整などを統括する一方、市民向けの出前授業による理解普及にも力を注ぐ。
 自身も理解するまで時間がかかった研究内容や効果に、どうすれば関心を示してくれるだろう――。そのヒントは小学校で開いた児童と保護者が同席する出前授業の中にあった。「子どもたちがイメージし、理解しやすい中身、表現というのは、結果的に大人が聞いても分かりやすい」
 ILCがもたらすものはすそ野が広く、「理系だけでなく文系に興味がある人も活躍できる機会がある。子どもたちにとっては、夢を実現する選択肢が増えることになる」。自分の子や孫が地元で活躍してくれる可能性にも期待が膨らむ。出前授業では科学の話だけに終始せず、将来の生活についても触れた。身近な表現を用いることを常に心掛けながら。
 「祝・建設候補地に決定!」のポスターが貼り出された市役所本庁舎。しかし、浮かれ気分に浸っているわけではない。「国や県が次はどう動くか、現時点ではまだ分からないが、ILCを核としたまちづくりの準備に手を掛けたい」。多忙な日々はまだまだ続く。(児玉直人)

 (プロフィル)
 神奈川大学を中退し、1982年旧水沢市職員採用。税務、企画、総務、教育畑などを歩み、今年4月からILC推進室長。プライベートでは、市ソフトテニス協会の理事長を務めるが「ILCの仕事もあり、最近はなかなかラケットを握るチャンスがありません」と苦笑い。水沢区佐倉河在住。
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