人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

ILCの意義「十分」 学術会議検討委が骨子案まとめる(文科省に回答へ)

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tanko 2013-8-13 7:00
 【東京=報道部・児玉直人】 北上山地などが有力候補地となっている、国際リニアコライダー(ILC)の国内誘致について協議している日本学術会議(大西隆会長)のILC計画に関する検討委員会(委員長・家泰弘東京大学教授)は12日、東京都内で第6回会合を開き、文部科学省から求められていたILC計画に対する回答案を協議。学術的意義が「十分に認められる」とする骨子案をまとめた。これまで指摘されていた予算面などの懸案については、素粒子研究者レベルの協議では対応しきれないと指摘。政府も加わった形で関係国との予備交渉を進めながら、2〜3年のうち集中的に調査することを求める方針だ。

 会合は公開で行われた。これまでの論点をもとに回答文章の骨子案を中心に協議。取りまとめた案では、ILC計画そのものについて否定せず、検討委として学術的意義を十分に認めていることを前面に打ち出した。
 その上で、委員の間から指摘された人材確保や建設費用負担などの予算面については、研究者レベルの協議だけでは話が進まない面があると指摘。2、3年の時間をかけて当該分野以外の研究者や関係政府機関も参加した集中的な調査を求め、ILC計画を最終的に判断する上では、これらの課題について明確な見通しを得ることを求める方針だ。
 検討委は、回答文の表現などを再度整理した上で、29日に開く会合で文科省への回答文を決定。学術会議内での査読作業や幹事会承認などを経て、早ければ9月末にも文科省に提出される見通しだ。

国内誘致「スタート地点に」 (東大・研究機構の村山機構長)
 日本学術会議ILC計画に関する検討委員会の第6回会合では、ILC計画の推進に深く携わっている、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構の村山斉機構長が、参考人の立場でILC計画の科学的意義などを説明した。
 村山機構長はスイス・ジュネーブにある素粒子研究施設・CERNが所有するLHC(大型ハドロンコライダー)を引き合いに、「LHCの精度をどんなに強化しても限界があるが、ILCの精度はLHCのさらに上を行く。無敵、最適の加速器だ」と強調。「このような実験施設があることにより、大人も子どもも科学の世界に興味を抱く。将来の日本の科学界を支えてくれる人材を育てる事にもつながる」と社会的な意義についてもアピールした。
 会合終了後、村山機構長は報道陣の取材に応じ「学術会議においてILC計画の意義を認めてくれたことは喜ばしいこと。また、どのような問題点があるかも洗い出してくれた。こういう指摘は、悲観的にではなく、むしろスタート地点に立つことができたと前向きに捉えたい」と述べた。
 「もし本当に意義がない計画だったら、『無理ですね』と言うだろうし、ここまで解決すべき事柄を丁寧に考えてはくれない」とも付け加えた。

写真=ILCの学術的について「十分にある」ことを確認した第6回会合
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