人類史上初ブラックホール撮影に貢献した国立天文台水沢VLBI観測所は、120年の歴史を誇り今もなお世界とつながっている観測拠点。奥州市東部が候補地となっている国際リニアコライダー(ILC)の話題とともに、岩手県奥州市、金ケ崎町における科学やそれに関連する地域の話題(行政・産業経済・教育・まちづくり・国際交流など)を随時アップしていきます。(記事配信=株式会社胆江日日新聞社)

国内誘致・政府判断に暗雲 学術会議検討委の家委員長「数年の熟慮必要」

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tanko 2013-8-7 7:20
 【東京都港区=報道部・児玉直人】北上山地などが有力候補地となっている、国際リニアコライダー(ILC)の国内誘致について検討している日本学術会議(大西隆会長)の検討委員会委員長の家泰弘東京大学教授は6日、ILC国内誘致の政府判断について「数年かけて懸案事項をクリアにしていく必要がある」との個人的見解を示した。学術会議は早くて9月中に、文部科学省から依頼を受けているILC関連の審議結果について回答。政府は国内誘致の判断の参考にするが、慎重な意見が色濃く示されたことで、誘致表明が当面困難になる可能性が強まった。

 家委員長は同日、東京都港区で開かれた同委員会第5回会合(非公開)終了後、報道陣の取材に応じた。
 同日の会合では、論点をまとめる上で、大まかな方向性を確認したという。その中で、巨額予算の捻出方法が具体的に決まっていないことや、参加国からの経費負担に対する確約など、国として誘致のゴーサインを出すには不確定要素があるなどと指摘があった。
 家委員長は個人的な総合所見と前置きした上で「何年かかけて懸案事項をもう少しクリアにし、国際的な合意も詰めた上で、しかるべき時期にもう一度誘致の是非を考えるべきではないか」との考えを示した。「これまでは推進する側の人たちが検討の中心だったが、外部の立場の人たちも入り協議した方が、社会的理解も得られる。こういうものを作るには十分な時間と調整が必要で、最悪なのは『日本に誘致しよう』と突っ走り、途中で断念してしまうことだ」と強調した。
 学術会議とは別に、素粒子研究者間では、北上山地と九州の背振山地の2候補地を一本化する作業が進められ、近く公表するものとみられる。学術会議の協議は候補地選定には一切関与していない。ただ、学術会議が誘致決断に熟慮を求める方針を示した場合、素粒子研究者側が選定結果をどのタイミングで公表するか判断が求められそうだ。

 日本学術会議・ILCに関する検討委員会 文科省からILCの学術的意義、国民生活や社会における意義、建設・運営に必要な予算、人的資源の確保など諸条件などについて審議依頼を受け、6月以降協議を重ねている。

写真=ILCの日本誘致には数年の熟慮が必要、との見解を述べる家泰弘委員長
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